準天頂衛星の補正情報を用いたAndroid向け衛星測位ソフトウェアを販売開始:組み込み開発ニュース
NECソリューションイノベータは、MADOCAによる補正情報を用いる「NEC高精度衛星測位ソフトウェア」を開発した。第1弾として、Androidアプリケーション向けのアプリケーションライブラリ版の販売を開始する。
NECソリューションイノベータは2022年4月20日、MADOCA(高精度測位補正技術)による補正情報を用いる「NEC高精度衛星測位ソフトウェア」を開発したと発表した。車の自動運転やドローンを利用した作業などにおいて、安全、安心の確保や業務効率化に貢献する。
第1弾として、Androidアプリケーション向けのアプリケーションライブラリ版を同日より販売開始する。受信機などのハードウェアや、同ソフトウェアを組み込むアプリケーションは別途必要となる。1ライセンス当たり2万円(税別)で、今後3年間で4000ライセンスの提供を目標に掲げる。
NEC高精度衛星測位ソフトウェアは、同社独自の測位アルゴリズムを採用しており、cmレベルの緯度や経度、高度といった位置情報を提供する。精度劣化判定アルゴリズムにより、測位精度の信頼性を判定可能。衛星測位から他のセンサー情報に切り替える際も、同アルゴリズムにより正確性を担保できる。
GNSS(全球測位衛星システム)の観測データに加えて、準天頂衛星システム「みちびき」から得たMADOCAによる補正情報を用いる。みちびきのカバーエリア(日本、アジア、オセアニア)であれば、インターネットが利用できない環境でもリアルタイムに精度の高い位置を導出する。
Android向けのアプリケーションライブラリ版は、位置情報を活用する他のAndroidアプリケーションと組み合わせることが可能で、容易に精度の高い位置情報を活用できる。
メンテナンス作業において、敷地内の危険区域などを記録したアプリケーションと併用することで、作業者が同区域に接近した際にアラートを発信するなどが可能となる。
本ソフトウェアは、ビズステーションの「VRSC対応受信機とAndroidコントロールアプリDrogger-GPS」に採用されており、位置情報を活用した取り組みを支援していく。
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