遠隔から安全に点検できる、プラント巡回点検防爆ロボット第2世代機を開発:FAニュース
三菱重工業は、ENEOSと共同開発したプラント巡回点検防爆ロボット「EX ROVR」の第2世代機「ASCENT」を市場投入する。危険な現場を遠隔操作で確認できるため、効率的で安全なプラント点検業務が可能になる。
三菱重工業は2022年4月11日、ENEOSと共同で開発したプラント巡回点検防爆ロボット「EX ROVR(エクス ローバー)」の第2世代機「ASCENT(アセント)」を市場投入すると発表した。
EX ROVRは、原子力発電所向けの遠隔保守技術を基に開発したもので、照明付きカメラを備えた6自由度防爆マニピュレーターを採用している。これにより、プラント内に複雑に配置された計器の撮影や、ガス濃度の測定、音声の録音、熱画像の取得が可能だ。
国際規格「IECEx」や欧州などで採用されている「ATEX指令」、国内の防爆型式検定に合格しており、可燃性ガスのある危険な場所でも安全に使用できる。
付属のアプリケーションと組み合わせて、遠隔から点検スケジュールの管理、点検データの確認を効率的に実施できる。事故につながる可能性のある事象が発生した場合は、遠隔操作で安全に現場を確認し、事態収束に向けて迅速に対応可能だ。
EX ROVRは、防爆型式検定に合格し、マニピュレーターの実装、ソフトウェアの開発を経て、初号機での実証試験を完了した。三菱重工業は、実用化したEX ROVRの第2世代機をASCENTの製品名で発売する。
初号機は、ENEOSのサイトで2022年度から試運用する予定で、ロボットの長期運用や点検作業状況についてデータを蓄積する。また、それらのデータを異常兆候を早期に把握する判定アプリの開発に活用することで、製品価値をさらに高める。
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