ウォームギヤの加工工程を集約、専用機による加工を汎用機で対応可能に:FAニュース
DMG森精機は、テクノロジーサイクルの最新版「マルチスレッディング2.0」の販売を開始した。従来の機能に加え、ウォームギヤ加工のプログラミング機能を拡張している。
DMG森精機は2022年3月30日、テクノロジーサイクルの最新版「マルチスレッディング2.0」の販売開始を発表した。現時点での搭載可能機種は、複合加工機「NTX」「NZX」シリーズ、ターニングセンター「NLX」「ALX」シリーズ。対応機種は、順次拡大する予定だ。
テクノロジーサイクルとは、機械本体や切削工具、周辺機器などのオープンイノベーション、組み込みソフトウェア、HMI(Human Machine Interface)を融合させた同社独自のソリューション。従来は専用機や専用プログラムなどが必要だった、加工、段取り、計測作業を汎用機や標準的な工具、治具で可能にする。
2017年に販売を開始したマルチスレッディングは、テクノロジーサイクルの1つとなる。通常のねじ切りだけでなく、大型ねじや特殊ねじ用の加工プログラムを自動生成し、汎用機で加工できる。最新版では、従来の機能に加え、ウォームギヤ加工のプログラミング機能を拡張している。
オペレーティングシステム「CELOS」の画面から、対話形式のガイダンスに沿ってタッチ入力すると、ウォームギヤ加工のプログラムを作成できる。バリ取り工程の自動プログラミングも可能だ。
ウォームギヤ加工の全工程を1台の複合加工機、ターニングセンターに集約できるため、ターニングセンター(外径旋削)や歯車加工機(ギヤ加工)などの専用機は不要となる。機械の停止時間、ワークや工具の段取り替え回数を削減できるため、生産リードタイムの短縮につながる。
ウォームギヤ加工のプログラム生成は、対話形式のガイダンスに沿った入力のみのため、作成時間を最大98%短縮できる。バリ取りを含めて加工プログラムを生成可能で、バリ取り工程も1台の機械に集約できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 止まらない工作機械に貢献、DMG森精機が「修理復旧技能研修センタ」を新設
DMG森精機は2021年9月30日、全世界の修理復旧担当者の育成および技能向上を目的に、伊賀事業所内のDMG森精機アカデミーに新しく「修理復旧技能研修センタ」を開設したと発表した。 - 進む製造機械の「知能化」、学習済みAIを搭載する動きが拡大へ
AI(人工知能)の活用が広がりを見せている。こうした中で、新たな動きとして定着が進んでいるのが、工作機械や射出成形機など、製造機械へのAI機能の組み込みである。2022年はこうした動きがさらに加速し、AIの学習までを機械メーカーが担って出荷する動きが進む見込みだ。 - 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。 - 工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。 - 工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。 - アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
知財専門家がアップルとサムスン電子のスマートフォンに関する知財訴訟の内容を振り返り「争う根幹に何があったのか」を探る本連載。最終回となる今回は、最終的な訴訟取り下げの遠因となった「新興国への技術移転」の問題と「なぜ米国で訴訟取り下げを行わなかったのか」という点について解説します。