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日本電産はE-Axleを2023年度に黒字化、ステランティスとの合弁事業も貢献製造マネジメントニュース

日本電産は2022年4月21日、2021年度(2022年3月期)の連結決算を発表した。売上高は前期比18.5%増の1兆9182億円、営業利益が同7.2%増の1715億円、当期利益が同12.2%増の1369億円で、いずれも過去最高を更新した。

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 日本電産は2022年4月21日、2021年度(2022年3月期)の連結決算を発表した。売上高は前期比18.5%増の1兆9182億円、営業利益が同7.2%増の1715億円、当期利益が同12.2%増の1369億円で、いずれも過去最高を更新した。

 2021年度の業績は、2020年度と比較して精密小型モーターが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のロックダウン(都市封鎖)などの影響で減収減益、車載は需要が旺盛で増収だったが減益となった。その一方で家電・商業・産業用や、買収によって加わった工作機械事業が増収増益となり、業績に貢献した。

 2022年度(2023年3月期)の業績予想は、売上高が前期比9.4%増の2兆1000億円、営業利益が同22.4%増の2100億円、当期利益が同20.5%増の1650億円を計画している。想定為替レートは1ドル=110円、1ユーロ=125円とした。設備投資は同52.1%増の1500億円、研究開発費は同21.8%増の950億円を見込む。

2021年度の業績と、前期と比べた増減要因[クリックで拡大] 出所:日本電産

 2022年度はステランティスと日本電産の合弁会社でのE-Axleの生産がスタートする他、収益性を改善した、より高性能な第2世代の製品を前倒しで投入する。また、開発中の第3世代の製品では、市況の変化に強い要素技術を盛り込んで価格競争力をさらに高める。これらの取り組みにより、収益向上を図る。

 ステランティスとの合弁会社では、2030年度まで追加受注の拡大を見込む。E-Axleサプライヤーで日本電産がトップシェアの中国では、取引先を大手2社から大手5社に拡大する。車載関連の原材料の価格高騰は当面続くと予想し、売価への反映や原価改善など収益構造の改善を急ぐ。

 「中国の自動車メーカーは値上げしてでも生産量を増やすことを重視しており、価格交渉が受け入れられやすく、原材料の価格高騰を自動車メーカーで反映してもらっている。その中でEVの買い控えは起きておらず、売り上げには影響していない。バッテリーがEVの値段を押し上げているが、エンジンとトランスミッションに対して日本電産のE-Axleのコストは半分以下だ。ユーザーからEVの走行距離に対するこだわりが減ってくれば、EVはハイブリッド車やエンジン車よりも安くなる。電池の価格競争が進めばEVのコストが下がる。シナリオは変わらない」(関氏)


E-Axleの収益化に向けたロードマップ[クリックで拡大] 出所:日本電産

 同日付で、代表取締役会長の永守重信氏がCEOに復帰することも発表した。現在のCEOである代表取締役社長執行役員の関潤氏はCOOを務める。「日本電産本来のスピード感のある経営を行い、2030年に売上高10兆円の実現をより強固なものにする」(プレスリリース)という。

 2022年5月1日から、関氏は車載事業本部長も兼務し、E-Axle事業の黒字化に集中するとしている。E-Axleの年度での黒字化は2023年度、累損を解消するのは2025年度と計画している。

2022年度の業績見通し(左)。2025年度に向けたE-Axleの市場予測(右)[クリックで拡大] 出所:日本電産

 工作機械では「あと3社ほど買収」(永守氏)した上で、5000億円規模の事業に育てていく考えだ。2021年11月に買収したOKK、同年8月に傘下に収めた日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械)ともに収益性の改善が急務となる。日本電産マシンツールは既に黒字化を達成しており、OKKも黒字転換の上、営業利益率20%の達成を目指す。2019年に買収した日本電産モビリティ(旧オムロンオートモーティブエレクトロニクス)が2021年度に創業以来の最高益を達成した直近の例にならい、買収後2年以内の収益改善を急ぐ。

 「技術があっても、値段が高い、対応が遅い、サービスが悪いでは受注が取れない。経営の問題だ。中国の工作機械メーカーも成長している。日本に強い工作機械メーカーがなくなって困るのは、日本の企業だ。断トツという会社がなく、数百億円規模の会社があるばかりでは中国と渡り合っていけない。もっと工作機械業界が一体感を持って戦っていけないかと考えている」(永守氏)

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