特許登録件数の国内首位は三菱電機、意匠登録件数は2位――特許庁レポート:知財ニュース
特許庁は2022年3月30日、2021年における、同庁の知的財産に関する取り組みや国内外の動向をまとめた年次レポート「特許庁ステータスレポート2022」を発表した。同レポートから特許登録件数と、意匠登録件数に関する項目を抜粋して紹介する。
特許庁は2022年3月30日、2021年における、同庁の知的財産(知財)に関する取り組みや国内外の動向をまとめた年次レポート「特許庁ステータスレポート2022」を発表した。同レポートから特許登録件数と、意匠登録件数に関する項目を抜粋して紹介する。
2021年の特許登録については、登録件数の多い上位10社を順に並べると、三菱電機(3494件)、トヨタ自動車(3389件)、キヤノン(3134件)、パナソニックIPマネジメント(2706件)、デンソー(1650件)、NEC(1608件)、本田技研工業(1591件)、リコー(1469件)、東芝(1433件)、富士通(1416件)となった。前年(2020年)における特許登録件数のトップはキヤノンであったが、2021年は順位を下げた。また、東芝は前年順位が上位10社圏外だった企業の中で、唯一10位以内にランクインした企業となった。
また、国際意匠登録出願を除く意匠登録件数については、上位10社は順に、パナソニックIPマネジメント(331件)、三菱電機(228件)、コクヨ(219件)、オカムラ(197件)、LIXIL(136件)、LEC(136件)、岐阜プラスチック工業(136件)、未来工業(131件)、本田技研工業(126件)、リスパック(118件)となった。
特許登録件数で1位、国際意匠登録出願を除く意匠登録件数で2位を獲得した三菱電機だが、同社は2014年から特許登録件数において8年間連続で国内企業の上位3位以内に入り、また、意匠登録件数でも2013年から9年連続で上位2位以内に入っている。
三菱電機は同社の知財活動における特徴的な要素として「事業戦略/研究開発戦略と連動した、三菱電機グループを挙げた知財活動の推進」「グローバルな知財活動と国際標準化戦略」「社外との『共創』を推進するツールとしての知財の積極的な活用」という3点を挙げている。
具体的には、事業戦略と研究開発戦略、知財/標準化戦略の三位一体経営を実施するとともに、社長直轄の知的財産部門と各製作所や研究所、関係会社の知的財産部門と連携し、グループ全体での知財活動推進に取り組んでいる。また、重点事業や重要研究開発プロジェクトと連携する形で、知財の重点プロジェクトを設定し、新興国における事業展開に先行して出願を実施している。加えて、米国や欧州、中国、東南アジアの各拠点で知財活動を専門で担当する駐在員を配置するなどしている。
「社外との『共創』」については、社会課題解決に寄与する技術をさまざまな業種や領域にライセンス提供することで、知財を起点に社外連携を促進する「Open Technology Bank活動」に取り組んでいる。同活動は2021年度から展開を開始している。
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