回路にダメージを与えることなく、低温で基板を接合できる技術を確立:FAニュース
明電ナノプロセス・イノベーションは、回路などにダメージを与えず、低温で基板を接合できる「低温ダメージレス無接着剤接合技術」を発表した。加熱による回路へのダメージを最小限に抑えつつ、接合の工程時間も短縮できる。
明電ナノプロセス・イノベーションは2022年3月3日、回路などにダメージを与えず、低温で基板を接合できる「低温ダメージレス無接着剤接合技術」を発表した。水原料なしで効率良く水酸基(OH基)を形成し、基板を接合する技術で、加熱が回路に与えるダメージを最小限に抑えつつ、接合の工程時間も短縮できる。
この技術には、同社のピュアオゾンジェネレーター(ピュアオゾン発生装置)から供給される「高純度100%オゾン」を用いた、同社独自の「OER(Ozone-Ethylene Radical generation technology)プロセス技術」を活用する。
OERプロセス技術は、高純度100%オゾンとエチレンガスを反応させて、高活性なOHラジカルを常温(30〜150℃)で発生させる技術。これまでの基板接合では、300〜400℃と高温下での作業が必要だったり、基板表面に残留した水分子が脱水縮合反応を阻害したりといった課題があったが、OERプロセス技術は水酸基を基板表面に形成するため、これらの課題を解決する。
同社では、実証のため引っ張り試験を実施した。試験には、OERプロセス技術で2枚のシリコン基板接合面に水酸基を形成し、接合面を密着させて加熱処理で接合したSi- Si(シリコン−シリコン)接合基板を使用した。
その結果、破断は接合部以外の場所に起きたため、少なくとも基板の破断強度よりも強く接合していることが分かった。Si-Si接合部の断面には、Si自然酸化膜のラインが見えるが、ボイド(空洞)や亀裂がなく完全に接合している。同社は今後、さらにOERプロセス技術の特徴を検証していく。
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