2030年までに2兆円投資、三菱重工がカーボンニュートラル技術の開発加速:脱炭素(2/2 ページ)
三菱重工業は2022年3月18日、同社のカーボンニュートラル実現に向けた目標設定や取り組みの現状についての説明会を開催した。同社の総投資額に占めるカーボンニュートラル関連の投資比率を高め、2030年までに約2兆円を投じるとしている。
「高砂水素パーク」の稼働も計画
また、三原製作所(広島県三原地区)では、工場敷地内に三原地区の電力需要に相当する太陽光発電設備を建設し、自社用電源によってスコープ2の脱炭素化を進め、2023年度末までの完全なカーボンニュートラルの達成を目指す。他技術の開発拠点としても活用する計画だという。
2023年からは、高砂製作所(兵庫県高砂市)で水素発電実証施設の「高砂水素パーク」が稼働予定だ。既存のガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント(GTCC)に水素貯蔵設備を追設する。次世代水素製造技術から水素ガスタービンによる発電までの、一貫したプロセスによる実証実験が可能になるという。メタンの熱分解を通じたターコイズ水素の製造も計画する。
高砂水素パークでは、中小型および大型の水素ガスタービン商用化に向けた実機検証も行う。大型ガスタービンによる水素30%混焼技術は2018年までに、水素100%専焼技術については2030年までに開発を実現する予定だという。いずれも2025年からの商用化を目指す。
この他、小型CO2回収装置の市場展開も進め、2023年までにラインアップを拡充する方針だ。原子力発電所関連の技術開発や、バイオマスガス化炉を用いたDAC代替航空燃料(SAS:Sustainable Aviation Fuel)などの取り組みも進める。
三菱重工は今後も、多種多様な産業分野の連携を通じて、産業エコシステム全体での環境価値と経済価値の創出を図るとしている。また、三菱重工 常務執行役員 CTOの伊藤栄作氏は「カーボンニュートラル社会の実現に向けた理念は、当社の社是ともつながる。当社グループの幅広い製品、サービス群で多種多様な産業を共存させる取り組みを進め、環境価値と経済価値の両立を目指す」と語った。
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