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薄型圧電センサーをシニア向けスマホに採用、直感的なボタン操作が可能に:組み込み採用事例
村田製作所の圧電フィルムセンサー「Picoleaf」が、FCNT製のシニア向け「らくらくスマートフォン」に採用された。高感度の押圧検知ができるPicoleafを組み込んだタッチパネルは、実際のボタンを押すような感覚で操作できる。
村田製作所は2022年2月14日、スマートフォン向けに圧電フィルムセンサー「Picoleaf(ピコリーフ)」を提供すると発表した。同年2月24日にNTTドコモから発売予定のFCNT製シニア向けスマートフォン「らくらくスマートフォン(F-52B)」に採用される。
Picoleafは、高感度の押圧検知ができる、フレキシブルかつ薄型のセンサー。併用するディスプレイ全面の押圧を検知し、1μmオーダーの微小変位や無意識の筋肉の動き、把持、脈拍といった生体信号検知にも応用可能だ。センサー単体の消費電力は0Wで、駆動時のアンプも消費電流10μA程度で設計できる。体温や日照、半導体の発熱に起因する感度変動やノイズも少ない。
薄型で、ディスプレイやタッチパネルと組み合わせても場所を取らない。曲面への貼り付けが可能で、透明電極を用いればディスプレイ上面にも貼れる。スマートフォンだけでなく、スタイラスペン、完全ワイヤレスイヤフォン、ウェアラブルデバイスなどにも応用できる。
PicoleafをFCNTの「らくらくタッチパネル」に組み込むことで、これまで大型画面上では困難だった「触れる」操作と「押す」操作の区別がしやすくなった。ディスプレイ上のボタンを押す操作を押圧センサーが検知し、指先に実体感のある振動を伝えることで、実際のボタンを押すように操作できる。
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