触覚伝達デバイスの浸透へ2つの技術を融合、京セラの「HAPTIVITY i」:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
京セラが薄型かつコンパクトでシームレスな筐体に触覚伝達機能を組み込める新技術「HAPTIVITY i」を開発。主に指先に対してリアルで多彩な触感を再現する京セラの触覚伝達技術「HAPTIVITY」と、電子部品を搭載した基板を3D射出成形でカプセル化するフィンランドのタクトテックの「IMSE」を融合させた複合技術となる。
京セラは2021年11月8日、オンラインで会見を開き、薄型かつコンパクトでシームレスな筐体に触覚伝達機能を組み込める新技術「HAPTIVITY i」を開発したと発表した。主に指先に対してリアルで多彩な触感を再現する京セラの触覚伝達技術「HAPTIVITY」と、電子部品を搭載した基板を3D射出成形でカプセル化するフィンランドのタクトテック(TactoTek)の「IMSE(Injection Molded Structural Electronics)」を融合させた複合技術となる。2021年末〜2022年春にHAPTIVITY iに対応する試作ラインを滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)内に新たに導入し、2022年夏には技術サンプルを出荷できる体制を整える。量産開始時期は2023年を目標としている。
2008年に開発を始めたHAPTIVITYは、圧電素子と金属板ばねを接着した圧電アクチュエータである。圧電素子には、力を加えると電圧が発生する圧電効果と、電圧を加えると変形する逆圧電効果があり、これによって触覚伝達機能に必要な荷重検出と振動出力の両方を行える。金属板ばねとの組み合わせにより、小型かつ薄型、優れた応答性、多彩な触感の再現といった特徴も備える。2020年9月に発表したコンセプトカー「Moeye」のインストゥルメントパネルやセンターコンソールのユーザーインタフェースにも採用されている。
一方のIMSEは、印刷技術で形成した回路パターンを搭載するフィルムに部品を実装し、その上に外観デザインとなるフィルムを重ねてから、フィルムとフィルムの間に射出成形で樹脂材料を流し込むことで機能部品を製造する技術だ。3次元構造の中に電子部品を内蔵できるとともに、機能部品の軽量化、薄型化が可能であり高い剛性も備えている。京セラは2021年4月にタクトテックとの間でライセンス契約を締結。両社の間に資本関係はないが「国内でIMSEをフルに使えるライセンス契約をしているのは当社だけだ」(京セラ)という。
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