介護経験のある管理職の48%が、介護を理由に「退職を考えた」と回答:キャリアニュース
Adecco Group Japanが「介護と仕事の両立に関する調査」の結果を発表した。管理職の48.4%が、介護を理由に退職を「考えたことがある」と回答し、64.5%が、休暇制度や勤務に関する制度を「利用しづらい」と考えていた。
Adecco Group Japanは2022年2月28日、「介護と仕事の両立に関する調査」の結果を発表した。
調査対象は、親族の介護をしている、もしくは過去に介護をしたことがある日本全国の会社員のうち、部長クラス以下かつ部下がいる管理職で、600人から回答があった。
初めに、介護を理由に退職を考えたことがあるか尋ねたところ、「何度も考えたことがある」が15.7%、「1、2回考えたことがある」が32.7%となり、48.4%が「考えたことがある」と回答した。2017年に実施した同調査では「考えたことがある」という回答は47.5%で、今回微増している。
次に、介護のために会社を休んだことがあるかを調べた。その結果、「休んだことがある」が414人、「休んだことはない」は186人だった。
介護のために会社を「休んだことがある」と回答した人の「介護を理由に退職を考えたことがある」の回答割合を調べたところ、「退職を何度も考えたことがある」が20.0%、「1、2回考えたことがある」は38.6%となり、58.6%が「介護を理由に退職を考えたことがある」と回答した。
一方、介護で会社を「休んだことはない」と回答した人は、「退職を何度も考えたことがある」が5.9%、「1、2回考えたことがある」が19.4%となり、「介護を理由に退職を考えたことがある」と回答したのは25.3%だった。介護の負担が大きくなるほど、離職リスクも高まると言えそうだ。
64.5%が「介護に関連して制度を利用しづらい」と回答
続いて、介護に関連して、休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことがあるかを尋ねたところ、「よくある」が21.5%、「時々ある」が43.0%となり、64.5%が「思ったことがある」と回答した。2017年の調査でも、63.2%が「(利用しづらいと)思ったことがある」と回答しており、改善が見られなかった。
介護に関連して、休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと「思ったことがある」と回答した387人に、制度を利用しづらいと思う理由を尋ねた。その結果、「自身の業務に支障が出るため」(67.4%)が最も多かった。次いで「部下の業務に支障が出るため」(49.4%)、「管理職で、介護を理由に休みを取る人がいないため」(39.5%)となっている。制度そのものが使いにくいというよりは、管理職のマインドやマネジメントのスキル不足が制度の利用にブレーキをかけていることがうかがえる。
介護と仕事の両立についても調べた。2017年の調査では、「現在の職場は、あなた自身や部下が介護と仕事を両立できる環境が整っていると思いますか」という質問に対し、「自分が両立できる環境が整っている」の回答が51.7%、「部下が両立できる環境が整っている」が54.6%だった。
今回の調査結果を見ると、「自分が両立できる環境が整っている」は54.7%、「部下が両立できる環境が整っている」が62.0%となっている。前者は変化が小さかったが、後者は7.4ポイント増加しており、一般社員にとっては介護と仕事を両立しやすくなっていると言えそうだ。
最後に、介護に携わる部下の就業継続支援について尋ねた。管理職としてどんな課題があると思うか尋ねたところ、「業務量や役割分担の調整が困難なこと」(53.2%)が最も多かった。次いで「プライベートなことなので聞きづらいこと」(41.8%)、「チームワークを醸成できていないこと」(27.0%)となっている。
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