大和研究所、再生材使用率95%のリサイクル材料や低温はんだを「ThinkPad」へ:サステナブル設計(4/4 ページ)
レノボ・ジャパンは、オンライン記者説明会「レノボ大和研究所 サステナブルな製品開発について」を開催し、「ThinkPad」に代表されるレノボ製PCにおけるサステナブルな製品開発の取り組みと、パートナー企業との協業により実現した環境負荷を低減させる要素技術について説明した。
PC使用時の消費電力を削減するレノボ独自の省電力技術
さらに、ユーザー使用環境における年間電力削減/長バッテリー時間の実現では、(1)サステナブルな最新技術、(2)レノボ独自の省電力技術が重要な役割を果たしている。
(1)サステナブルな最新技術としては、省電力ディスプレイの積極的な採用が挙げられる。例えば、可変フレームレート技術により、表示内容に応じてリフレッシュレートを変化させて消費電力を削減したり、フレーム間で変化のある部分のみを更新するパネルセルフリフレッシュを採用したりしている。また、ThinkPadに搭載するディスプレイそのものについても、低温ポリシリコン液晶の採用数を増やし、高解像度と低消費電力化の両立に取り組んでいる。
(2)レノボ独自の省電力技術では、まず、AI(人工知能)画像認識/解析技術によるコンピュータビジョンの活用が挙げられる。具体的には、独自のAI搭載画像解析ICを採用し、ユーザーがディスプレイを見ていないときには画面の明るさを下げて、ディスプレイの輝度を自動的に最適化して消費電力を抑えるというものだ。画像認識や解析処理を専用IC内で完結させることで、プライバシーやセキュリティにも配慮しているという。
「ディスプレイはシステム全体の消費電力の中でも非常に大きな割合を占めており、輝度がディスプレイの電力に直結している。このレノボ独自のAI搭載画像解析ICを採用したモデルを2022年中に発表する予定だ」(塚本氏)
その他、「Lenovo Intelligent Thermal Solution」もレノボ独自の省電力技術として挙げられる。これは、使用しているアプリケーションに応じて省電力制御を行うもので、自動的にCPUパフォーマンスとCPU消費電力のバランスを最適化してくれる。
こうした新たな省電力技術の効果について、ThinkPadユーザーの想定シナリオを基に試算、推計したところ、省電力技術なしの状態と比較して、PC1台当たり年間約10%ほどの消費電力削減効果が期待できるとしている。
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