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2021年のグローバル生産を足止め、半導体不足、部品供給や物流の混乱自動車メーカー生産動向(4/4 ページ)

2021年の自動車産業は、経済回復による旺盛な自動車需要に対して、半導体不足や東南アジアからの部品供給難、物流の混乱などが足止めする格好となった。このため、2021年の日系乗用車メーカー8社合計の世界生産は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で相次いで生産停止を余儀なくされた2020年と比べてもわずかなプラスにとどまる結果となった。

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マツダ

 マツダの2021年のグローバル生産台数は、前年比8.5%減の107万4987台と4年連続で減少した。サプライチェーンの混乱に加えて、相次いだ自然災害にも苦しめられた1年となった。世界生産の3分の2以上を占める国内生産は、同1.5%減の73万5649台と2年連続のマイナス。半導体など部品供給不足による稼働停止をはじめ、大雨で本社工場と防府工場で7、8月と稼働停止。8月には中国・上海の空港でCOVID-19感染が確認されたことで貨物便による部品供給が滞り、稼働停止を余儀なくされた。その結果、8月、9月、10月の国内生産は統計の開示以降で最少だった。

 国内以上に厳しい結果となったのが海外生産だ。2021年は前年比20.7%減の33万9338台と4年連続で前年実績を下回った。8社の海外生産では最大の減少幅だった。国別では、中国はいち早く市場回復が進んだ前年の反動減の他、電力供給制限や空港でのコロナ影響などによる稼働停止に加えて、「マツダ6」や「CX-4」の需要減退が重なり、同24.5%減の16万5095台と、中国生産する5社で最大の落ち込みとなった。タイも半導体不足の影響や、東南アジアでの変異株の感染拡大による稼働停止を実施した結果、同26.6%減と低迷。2021年3月末でピックアップトラック「BT-50」の生産を終了した影響も出ている。メキシコも半導体不足により計62日間の操業停止を実施し、同12.6%減だった。

 12月も半導体不足による減産が続いている。グローバル生産台数は、前年同月比11.4%減の9万8440台と6カ月連続のマイナスとなった。特に厳しいのが海外生産で、同37.7%減の2万336台と8カ月連続のマイナス。タイは販売低迷により在庫などを考慮し、乗用車ラインを6日間停止。同43.2%減の大幅減となった。メキシコは半導体不足による操業停止で同38.9%減。中国も半導体不足による稼働停止や、CX-4および「CX-30」の販売減少により同35.1%減と伸び悩んだ。一方、国内生産は11月から回復基調が続いており、同0.5%減の7万8104台と6カ月連続で前年実績を下回ったものの、前年並みを維持した。商品改良を実施した主力モデルの「CX-5」が同23.6%増と国内生産を下支えした。

スバル

 半導体不足や東南アジアからの部品供給難などによる減産への影響が最も大きく表面化したのがSUBARU(スバル)だ。2021年のグローバル生産台数は、前年比15.8%減の74万4787台と4年連続で前年実績を下回った。グローバル生産の減少幅は8社の中で最大で、唯一2桁パーセント減となるなど、前年のコロナ禍で大きく落ち込んだ水準をさらに割り込んだ格好だ。

 このうち国内生産は同16.7%減の47万5141台と5年連続のマイナス。海外生産も同14.3%減の26万9646台と2年連続の前年割れとなった。スバルは、米国の経済回復など国内外での受注が好調で、需要に対して車両供給が追い付かない事態が続いており、在庫不足が深刻化している。

 半導体など部品供給不足の影響は依然として続いており、12月単月のグローバル生産台数は前年同月比21.6%減の6万7922台と6カ月連続の前年割れとなった。国内生産は同25.7%減の4万3794台と6カ月連続のマイナス。海外生産は同13.0%減の2万4128台で2カ月ぶりに減少した。さらに年明けから突発的な半導体不足や取引先でのオミクロン株の感染拡大などの影響が発生。1月以降も国内工場で稼働停止を実施しており、供給体制の改善にはしばらく時間がかかりそうだ。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

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