検索
ニュース

パナソニックが24時間365日止まらない工場「オートノマスファクトリー」実現へスマートファクトリー(2/2 ページ)

パナソニック コネクテッドソリューションズ(CNS)社が、製造分野における現場プロセスイノベーションのコンセプトである、24時間365日止まらない工場「Autonomous Factory(オートノマスファクトリー)」と、その実現を可能にするモジュラーマウンターの新モデル「NPM-GH」とスクリーン印刷機「NPM-GP/L」などを発表した。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

5Mを自律的に制御しマネジメントするAIを投入

 オートノマスファクトリーのコンセプトでは、表面実装機などを中心としたハードウェア製品だけでなく、サイバー領域とフィジカル領域を知能化するソフトウェアも必要になる。

オートノマスファクトリーのサイバー領域とフィジカル領域を知能化するソフトウェア
オートノマスファクトリーのサイバー領域とフィジカル領域を知能化するソフトウェア[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 秋山氏がオートノマスファクトリー実現のキーポイントとして挙げたのが、生産ラインの変動要素である5M(huMan、Machine、Material、Method、Measurement)を自律的に制御しマネジメントするための「生産実行AI」と「計画立案AI」である。「自律的なコントロールを実現するには、5M実測値のバラつきを公差範囲内に収める必要がある。人が行ってきた作業を自動化し、判断をAIで知能化することで5Mのバラツキを極小化できる」(同氏)という。

5MをAIで自律的に制御しマネジメントするフィジカル領域の「生産実行AI」とサイバー領域の「計画立案AI」 5MをAIで自律的に制御しマネジメントする(左)。フィジカル領域の「生産実行AI」とサイバー領域の「計画立案AI」(右)クリックで拡大] 出所:パナソニック
自律的なコントロール5M実測値のバラつきを公差範囲内に収める 自律的なコントロールを実現するには、5M実測値のバラつきを公差範囲内に収める必要がある[クリックで拡大] 出所:パナソニック
バラツキ全てをコントロールするのは難しい5Mのバラツキを極小化できる バラツキが発生する要因は多岐にわたるため全てをコントロールするのは難しいが(左)、人作業を自動化し判断をAIで知能化することで5Mのバラツキを極小化できる(右)[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 これらの人による作業を自動化するAIを運用するためには、データ収集の仕組みが重要な役割を果たす。表面実装ラインにおけるデータ収集の起点になったのが、シーメンスとの協業によって展開してきた統合管理ソフト「iLNB」である。iLNBは、パナソニック製以外の表面実装関連設備の情報を収集可能であり110社との連携実績を有している。

統合管理ソフト「iLNB」
統合管理ソフト「iLNB」[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 この1台の産業用PCで表面実装ラインの制御データを一括して管理できる実績から生まれたのが、表面実装ラインの良品生産と安定稼働のために5Mのプロセスコントロールを実現する生産実行AIの「APC-5M」だ。APC-5Mによって、表面実装ラインの自動復旧機能や予知保全などが可能になる。2022年2月16日に販売を始める予定だ。

生産実行AI「APC-5M」
生産実行AI「APC-5M」[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 一方、計画立案AIを運用するためには、iLNBで得られる表面実装ラインの制御データだけでは不十分だ。部品や材料の管理情報やメンテナンス計画などを含めた、生産ラインの周辺データも併せて必要になる。そこで、iLNBのデータと周辺データを合わせて収集する「統合ナビ」を開発している。

「統合ナビ」でデータを収集し、計画立案AIの運用につなげる
「統合ナビ」でデータを収集し、計画立案AIの運用につなげる[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 この統合ナビと、統合MES(製造実行システム)パッケージ「CYPROS」、表面実装ライン向けMESソフトウェア「PanaCIM」、他社製の生産スケジューラーなどを組み合わせる形で、2022年度下期以降に計画立案AIを実現していく計画だ。さらに、オートノマスファクトリーのコンセプトにブルーヨンダーのソリューションがつながることで、オートノマスサプライチェーンの実現にもつなげていく構えである。

オートノマスファクトリーにブルーヨンダーのソリューションをつなげてオートノマスサプライチェーンを実現する
オートノマスファクトリーにブルーヨンダーのソリューションをつなげてオートノマスサプライチェーンを実現する[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 これらのオートノマスファクトリーを実現するソリューションの展開を2030年度に向けて進めることで、プロセスオートメーション事業の売上高4000億円の達成を目指す。4000億円の内訳は、表面実装機などの設備ハードウェアの比率が6割、今後注力するソフトウェアや交換部品を含めたサポートサービスなど非ハードウェアの比率が4割になるイメージだ。

プロセスオートメーション事業の売上高目標
プロセスオートメーション事業の売上高目標[クリックで拡大] 出所:パナソニック

⇒その他の「スマートファクトリー」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る