「置き配」で自家用車を指定して荷物受け取り、ヤマト運輸が実証実験:モビリティサービス
KDDIとヤマト運輸、プライム ライフ テクノロジーズは2022年2月1日、デジタルキーを活用して自家用車の荷室に荷物を配達する実証実験を実施すると発表した。
KDDIとヤマト運輸、プライム ライフ テクノロジーズは2022年2月1日、デジタルキーを活用して自家用車の荷室に荷物を配達する実証実験を実施すると発表した。
トヨタ自動車からデジタルキーの提供を受けているため、トヨタ車の所有者が実証実験の参加対象となる。東京都と愛知県で、一戸建てに居住していることも条件となる。デジタルキーでクルマを解錠できるデバイス「スマートキーボックス(SKB)」を参加者の自家用車に設置し、参加者にはECサイトで購入した商品の配達場所を「車内への置き配」と指定してもらう。
配達場所の設定は専用アプリを通じて行う。配達員も専用アプリを使用し、所定の時間だけ利用できるデジタルキーを使って配達する。
ヤマト運輸では、デジタルキーを活用したさまざまな荷物の受け取り方法を検討している。複数の企業が提供するデジタルキーを同時に管理できるマルチデジタルキープラットフォームも開発。多様化する荷物の受け取り方に対応する。
KDDIは、実証実験向けに、参加者と配達員が使用する専用スマートフォンアプリと、IoT(モノのインターネット)サービスのプラットフォームを組み合わせたシステムを提供する。今後は自動車以外に向けても展開していく考えだ。
SKBはトヨタ自動車が2016年に開発した。キーレスエントリー(スマートキー、インテリジェントキーとも)と同じ機能が組み込まれており、スマートフォンのBluetooth Low Energy(BLE)通信の機能を使ってSKBにアクセスし、スマートフォンアプリからキーレスエントリーの機能を操作する。今回の実証実験で使用するドアの鍵の開閉機能の他、エンジン始動の制御も行うことができる。
当初はカーシェアリング向けに開発した。カーシェアリングでは、コンソールボックスなどに鍵をおいてユーザーに受け渡したり、CANに特殊な通信装置を直接接続することで鍵の開閉などを行ったりしている。こうしたやりとりで発生するセキュリティ上の課題を克服するため、車両を改造することなく、車両の所有者が端末を車内に設置するだけでクルマの鍵の開閉を行えるSKBを開発した。
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