機械学習モデルで生産施設の保守運用を最適化、Lumadaの新サービス開始:製造ITニュース
日立パワーソリューションズは2021年1月19日、生産設備や発電所などの社会インフラ設備向けに、機械学習技術を用いて設備運用、保守業務を最適化する新サービスを開始すると発表した。
日立パワーソリューションズは2021年1月19日、生産設備や発電所などの社会インフラ設備向けに、機械学習技術を用いて設備運用、保守業務を最適化する新サービスを開始すると発表した。新たに開発したデジタル保守プラットフォーム「KamomeX(カモメックス)」に、同社の培ってきた保守運用技術やノウハウを組み合わせて提供する。
保守業務を高度化
新サービスの中核となるKamomeXは、大規模施設を対象に保守、運用業務を最適化することで、計画外停止による事業リスク低減、保守コストの削減などを図るサービスである。設備の稼働データやアセットデータ、制御データ、保守履歴データ、経営データを収集して、機械学習モデルで分析して保守運用業務の支援に生かす。
サービスの特徴は大きく分けて3点ある。1つ目は保守業務の高度化を実現できる点だ。収集した各種データから保守判断情報を定量的に示すと同時に、診断結果の情報も提供する。現場の熟練技術者のナレッジをデジタル化して、保守業務の高度化を支援する機能もある。
2つ目は日立パワーソリューションズが運用、保守業務を請負う点である。KamomeXと連携したパブリッククラウドを通じて、同社が持つ遠隔監視支援センターや、全国のサービス拠点を活用し、保守作業や部品交換作業などを高水準で実施できる。
3つ目は運用、保守業務を最適化する支援が受けられる点だ。KamomeXで収集したデータは日立パワーソリューションズが分析して、課題発見やコンサルティングの実施につなげる。品質安定化や、保守運用設備に関する投資計画の支援を行う。
また、KamomeXの機械学習モデルは、モデル学習時に含まれなかった未学習データもシステム運用の中で機械学習モデルに組み込める仕組みにしている。機械学習モデル構築時のデータに含まれていなかった事象が発生した場合、適切に対応できず、失報するリスクがある。そこで、現場で新たに取得した未学習の事象についても、機械学習モデルの中に組み込んでいく運用にした。
新サービスは日立製作所が展開するデジタルソリューション「Lumada」の1サービスとして展開予定。販売目標としては、2024年度までに30億円の売り上げ達成を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない「エッジコンピューティング」
IoT活用やCPS進展の中で、あらためて脚光を浴びている「エッジコンピューティング」。このエッジコンピューティングはどういうことで、製造業にとってどういう意味があるのかを5分で分かるように簡単に分かりやすく説明します。 - NTTPCがIoT向けマルチキャリア対応SIMを発表、国内はドコモとKDDIから自動選択
NTTPCコミュニケーションズ(NTTPC)が複数キャリアの通信を利用できるIoT向けマルチキャリア対応SIMサービスの提供を2022年1月下旬から開始する。1枚のSIMカードにより、NTTドコモとKDDIの国内2キャリアに加えて、海外約160の国と地域に対応する国際ローミングによる通信を利用できる。 - インフラ設備やシステムを遠隔で管理、監視するIoTコントローラーを開発
明電舎は、インフラ設備やシステムを遠隔から管理、監視できるIoTコントローラーを開発した。インフラ設備のセンシングデータの収集や解析制御などに対応し、リモート予兆診断などでインフラ設備管理の省力化を支援する。 - 製造現場IoTの現実解か、製造機器の「信号灯」データの設備監視実現へ
製造現場のIoT活用といっても何から手を付ければ良いか分からない……。そんな中で既存の設備を有効活用した設備監視システムが登場した。ポイントは製造機器に付けている「信号灯」である。 - 100台規模の機械を一括管理できるIoTワイヤレス稼働監視システムを先行販売
ソナスは、既存の設備や機械への取り付けとモニタリングが容易なワイヤレス稼働監視システムの先行販売を開始した。独自開発のIoT無線「UNISONet」を活用し、工場内の稼働監視業務の省力化に貢献する。 - 信号灯に10秒で取り付け可能、稼働監視機能を付加できる無線IoTセンサー
コンテックは、積層信号灯に後付けして稼働監視機能を付加できる無線IoTセンサー「CPS-PAV」シリーズの受注を開始した。計測機となる子機は信号灯に配線なしで容易に取り付けられ、設定画面で子機IDを選択するだけで、すぐに監視を開始できる。