NTTPCがIoT向けマルチキャリア対応SIMを発表、国内はドコモとKDDIから自動選択:製造業IoT
NTTPCコミュニケーションズ(NTTPC)が複数キャリアの通信を利用できるIoT向けマルチキャリア対応SIMサービスの提供を2022年1月下旬から開始する。1枚のSIMカードにより、NTTドコモとKDDIの国内2キャリアに加えて、海外約160の国と地域に対応する国際ローミングによる通信を利用できる。
NTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)は2021年11月30日、オンラインで会見を開き、複数キャリアの通信を利用できるIoT(モノのインターネット)向けマルチキャリア対応SIMサービスの提供を2022年1月下旬から開始すると発表した。同社独自のVPN(仮想プライベートネットワーク)を用いた閉域網が特徴の「Master'sONEモバイルマルチキャリアタイプ」と、通常のインターネット利用となる「InfoSphereモバイルマルチキャリアタイプ」の2種類があり、1枚のSIMカードにより、NTTドコモとKDDIの国内2キャリアに加えて、海外約160の国と地域に対応する国際ローミングによる通信を利用できる。販売目標は、5年後の2026年度までで約10万IDとしている。
今回提供するIoT向けマルチキャリア対応SIMサービスの最大の特徴は、SIMカードを組み込んだ機器の設置場所において、より電波が強く確実な通信を行える通信キャリアを自動で選択する機能だ。これによって、NTTドコモとKDDIの通信カバレッジでIoT機器を利用できるようになり、万が一の障害時もキャリア冗長による可用性を確保できる。IoT機器を設置する場所に最適な通信キャリアを選ぶための現地調査を省けるなどのメリットも得られる。
また、IoT機器を海外で利用する場合にも、現地キャリアとの契約手続きなしで即座にモバイル通信が行え、支払処理もNTTPCコミュニケーションズに一元管理できる。国内でキッティングしたIoT機器をそのまま海外で利用することも可能だ。より機密度の高い通信を行う場合に求められるVPN接続も、Master'sONEモバイルマルチキャリアタイプを選択すれば、追加料金なしで利用できる。
さらに、SIMの発注や解約、通信量確認などをWeb上で一括して管理できるカスタマーコンソールも無料提供している。同コンソールでは、NTTPCがこれまでに提供してきた、NTTドコモMVNOを利用したSIMサービスであるスタンダードタイプとの統合運用が可能だ。
IoT向けマルチキャリア対応SIMサービスの価格(税込み)は、SIM基本料金が月額で198円、国内のデータ使用料は1MB当たり5.5円の従量課金となる(海外は国や地域により1MB当たり5〜38円)。この他、初期料金として事務手数料が2178円、SIM発行手数料が1枚当たり433円、SIM配送料が880円となっている(発行数量に関わらず申し込み1回ごと)。なお、発売から2022年7月31日までは、初期料金の事務手数料が無料になるリリース記念キャンペーンを行う。この他、インターネット利用のInfoSphereモバイルマルチキャリアタイプ限定で、機器検証を目的としたSIMの無料貸し出しも実施する。
2022年1月下旬のサービス開始時はSIMカードでの提供となっているが、2022年内をめどに振動耐性と衝撃耐性に優れた組み込み用のチップ型SIMも提供できる体制を整える。カスタマーコンソールについても、通信量の閾値設定による自動停止やメール通信の機能、API提供による顧客システムとの連携機能などの拡充も計画している。
NTTPC サービスクリエーション本部 第二サービスクリエーション部 担当部長の釜田良平氏は「設備監視や予防保全、センシング、防災、警備などの用途でIoTを活用したい中堅・中小企業をメインターゲットに展開を進める。キャリア自動選択機能やVPNなどがあらかじめサービスに組み込まれているので、プロファイルの設定・変更など専門的な知識が必要なく気軽に使ってもらえるのではないか」と述べている。
会見では、トライアルのユースケースとしてビルメンテナンス事業者や太陽光発電事業者、警備会社などの活用事例も報告された。
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