工場での無線通信を安定化させる通信技術、認証を開始し2022年内に市場投入へ:スマート工場EXPO2022
フレキシブルファクトリパートナーアライアンスは、「第6回スマート工場EXPO」において、工場における無線通信システムの安定化を実現する「SRF無線プラットフォーム」を訴求。2021年12月から同規格に準拠する無線機器の認証プログラムを開始し、製品展開フェーズに入ったことを訴えた。
フレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)は、「第6回スマート工場EXPO」(2022年1月19〜21日、東京ビッグサイト)において、工場における無線通信システムの安定化を実現する「SRF無線プラットフォーム」を訴求。2021年12月から同規格に準拠する無線機器の認証プログラムを開始し、製品展開フェーズに入ったことを訴えた。
FFPAは2017年に工場における安定した無線通信環境の実現を目指しNEC、オムロン、国際電気通信基礎技術研究所、サンリツオートメイション、情報通信研究機構、富士通、村田機械の7社により設立された団体である。製造現場の過酷で変化に富む環境においても安定的に無線通信を行えるような技術基盤の確立を目指している。
FFPAが推進する安定した無線通信技術「SRF無線プラットフォーム」のポイントは3つある。1つ目は、ネットワークの要求リソースなどを常に監視し最適なリソース配分を実施する「Field Manager」という機能を用意したことだ。工場のネットワークでは、制御など高い安定性が要求されるネットワーク環境がある一方で、AGV(無人搬送車)の動作や映像処理など急に大きなネットワークリソースが要求されるようなものなどが混在している。これらへ最適にリソース配分を行う“司令塔”のような機能を置くことにより、安定した無線通信を実現できるようにする。
2つ目が、こうした急激な変化に対応するために階層を分けて運用しているという点だ。全てのリソース配分を「Field Manager」に戻して判断し指示をするのではなく、制御ポリシーを「Field Manager」から傘下の「SRF Gateway」に送り、ゲートウェイでポリシーに沿った判断を高速に行うことで、急なリソース配分の変更などに追従したリアルタイム性の高い反応が行えるようになっている。
3つ目が「SRF無線プラットフォーム」の適用範囲外のネットワークデバイスのリソース要求状況なども監視し、想定外のリソース逼迫(ひっぱく)が起きにくい環境を作っているということだ。FFPA 事務局長の佐藤慎一氏は「工場内での無線ネットワークの活用ニーズは高まっているものの、安定的な通信技術が確立されていないために普及が難しい面があった。こうした課題を解決することで工場内でも無線通信の利用領域をさらに広げていける」と述べている。
FFPAでは、この「SRF無線プラットフォーム」の技術仕様の策定を2019年に完了し、2020年から同仕様の外部提供を開始した。さらに2021年12月には、同通信規格に準拠する機器認証を開始しており、2022年中の最終製品投入を目指しているという。「既に複数の機器で認証を開始している。開発企業次第だが、2022年中には最初の製品が市場投入されると見ている。まずは国内中心だが、国際標準化を見据えた取り組みも進めており、将来的にはグローバルで普及させたい」と語っている。
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