「製造」と「開発」の現場に近い共創拠点をオムロンがリニューアル、ローカル5Gも:FAニュース
オムロンは2022年1月12日、滋賀県草津市の草津事業所内にあるソリューション開発と共創を進める拠点「オートメーションセンタ KUSATSU(ATC-KUSATSU)」をリニューアルオープンしたと発表した。ATC-KUSATSUはオムロンが全世界37カ所で展開するオートメーションセンタの最初の拠点として2011年に開設されたが、5Gの実証ゾーンなども設け、先端技術を組み合わせたソリューション開発などを推進する。
オムロンは2022年1月12日、滋賀県草津市の草津事業所内にあるソリューション開発と共創を進める拠点「オートメーションセンタ KUSATSU(ATC-KUSATSU)」をリニューアルオープンしたと発表した。ATC-KUSATSUはオムロンが全世界37カ所で展開するオートメーションセンタ(ATC)の最初の拠点として2011年に開設されたが、5Gの実証ゾーンなども設け、先端技術を組み合わせたソリューション開発などを推進する。
製造と開発を生かした新たな競争の場を
オムロンでは、2022年1月12日に新たなモノづくりコンセプト「i-Automation!-Next」を発表しているが、新たなモノづくりを実現するためには先進技術を取り込みながら、顧客ニーズを把握し、共創型のソリューションベースでのアプリケーション開発が欠かせない。こうしたアプリケーション開発の共創拠点としてオムロンがグローバルで整備を進めてきたのがATCであり、今回草津事業所内のATC-KUSATSUでは、5GやAI(人工知能)など先進デジタル技術との組み合わせが行いやすいようにリニューアルを行った。
ATC-KUSATSU内には、アプリケーションの体験や開発を推進する「ATC-KUSATSU」と主に実証を行う「AUTOMATION CENTER KUSATSU POC LAB(POC-KUSATSU)」という2種類の施設を用意する。アプリケーション開発とPoC(概念実証)の施設を併設する形の拠点は2020年1月にオープンした東京の「オートメーションセンタ TOKYO(ATC-TOKYO)」があるが「東京は都会でも工場を見てもらえるということを主な目的とした施設だが、ATC-KUSATSUがある草津事業所はもともと工場を抱える拠点であり、開発部門も入っている。開発や製造の機能と組み合わせた共創を行いやすいのがATC-KUSATSUの特徴だ」(オムロン 執行役員 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 技術開発本部長 福井信二氏)。
例えば、ATC-KUSATSUでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した遠隔監視や改善などを行う「リモート操業コックピット」の実証を進めている。これは草津工場内の基板実装ラインの機械の稼働状態や人の動線などを遠隔監視し、これらのデータを基にバーチャルで生産のシミュレーションを行い、最適な形に改善を行えるような仕組みだ。これにより同ラインの生産性が時間当たりで45%改善したという。こうした製造現場での実証を通じたアプリケーション開発が行えることが特徴だ。
ローカル5Gを製造現場で生かす実証を推進
もう1つの特徴が、ローカル5Gの実証環境を用意したという点だ。オムロンでは2019年からNTTドコモ、ノキアグループと共同で5Gの製造現場での活用における実証実験を行ってきたが、ある程度の成果が見込めるようになってきたことから、独自の基地局をオムロン自身が用意するローカル5G環境を構築。5Gを活用したレイアウトフリーアプリケーションの体験や、顧客設備や機械を持ち込んだローカル5Gアプリケーションの開発や実証を行えるようにした。
福井氏は「無線通信としての5Gの魅力を変わらず感じている。5Gの性能の内、高速、低遅延である点は、今までの実証を通じて製造現場でも使えるめどが立ってきた。まずはこれらを生かしたさまざまなアプリケーション開発を進めていきたい。多点同時接続を生かしたアプリケーションについては5Gそのもののさらなる進化と合わせて開発を進めていく」と語っている。
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