国内の電動車充電器は2035年に約6割増、急速充電は助成制度拡充がカギ:電気自動車
富士経済は2021年12月27日、EV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)の充電器について、日本国内市場の調査結果を発表した。
富士経済は2021年12月27日、EV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)の充電器について、日本国内市場の調査結果を発表した。
2035年の市場規模(コネクター数ベース)は、普通充電器が2020年比59.0%増の13万2210個、急速充電器は同62.3%増の1万2700個に増加すると見込む。普通充電器は家庭用や公共用で堅調に拡大するが、急速充電器が政府の普及目標を達成するには助成制度の拡充が必要だとしている。
国内の充電器は普通充電器が市場の9割以上を占めている。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて民間企業が設備投資を抑制したことにより充電器の需要が減少し、伸びが鈍化した。2021年も、コネクター数でみた普通充電器の市場規模は2020年と比べて微増にとどまった。
今後はPHEVの新型車投入や、ディーラーでの充電器増設などにより、普通充電器は市場規模は堅調に拡大するとしている。また、2010年前後に設置された充電器の更新が2022年以降本格化する。現在は出力が3kWの普通充電器が中心だが、車種の増加によって出力6kWのタイプへの更新や新規設置が進むと予測。職場用や商用車向けの設置が伸長することも期待されるという。
2035年に普通充電器の市場規模は、家庭用が2020年比33.2%増の4万9650個、公共用が同32.1%増の4万3570個、職場用が同2.4倍の2万1100個、商用車用が同4.4倍の1万7890個と見込んでいる。
急速充電器は、緩やかな市場拡大が続いている。コネクター数でみた2021年の急速充電器の市場規模は、公共用は微増だが、職場用が前年比14.3%増、商用車用が17.6%増と増加した。2022年以降は、普通充電器と同様に2010年ごろに設置された充電器の更新が進むとともに、「充電渋滞」への対策や大出力機の追加など増設での需要拡大が予想されるという。
政府は2030年までに公共用急速充電器を3万基に増やす目標を掲げているが、本体だけで100万円超となる価格の高さや設置費用などを含めた導入コストの負担が大きく、設置した事業者が投資を回収するまでに時間も要する。現状も設置場所はディーラーや高速道路などにとどまっている。導入コストに対する助成制度など、政府による早期の対策が必要だとしている。
2035年の急速充電器の市場規模は、公共用が2020年比51.0%増の1万1530個、職場用が同5.3倍の560個、商用車用が同7.2倍の610個と見込む。
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