デンソーの第2世代ステレオ画像センサー、サイズそのままで性能向上できた秘訣は:組み込み開発ニュース
デンソーは、小型ステレオ画像センサーの第2世代品の性能向上と機能拡大の詳細を明らかにした。第1世代品と同等のサイズと価格を維持しながら、識別能力が高い単眼認識ICの追加採用、高感度イメージャーへの変更などにより、衝突回避支援ブレーキ機能の対応速度や夜間の歩行者検知の性能を向上し、標識認識支援などの機能拡大も実現している。
デンソーは2021年12月21日、小型ステレオ画像センサーの第2世代品の性能向上と機能拡大の詳細を明らかにした。第1世代品と同等となる「世界最小」(同社)のサイズと価格を維持しながら、識別能力が高い単眼認識ICの追加採用、高感度イメージャーへの変更などにより、衝突回避支援ブレーキ機能の対応速度や夜間の歩行者検知の性能を向上し、標識認識支援などの機能拡大も実現している。
同社の小型ステレオ画像センサーは2016年からダイハツ工業の先進安全システム(ADAS)「スマートアシスト」に採用されている。第2世代品は軽乗用車「タフト」や小型車「トール」「ロッキー」の他、2021年12月発表の軽商用車「ハイゼットトラック」「ハイゼットカーゴ」「アトレー」に採用された。
識別能力が高い単眼認識ICの追加採用では、前方車両の検知距離が伸びたことで、衝突回避支援ブレーキ機能の対応速度が向上した。第1世代品の小型ステレオ画像センサーを搭載するスマートアシストでは対車両で時速30〜80km、対歩行者で時速30〜50kmであれば作動するとなっていたが、第2世代品を搭載するスマートアシストの作動範囲は対車両で時速30〜120km、対歩行者で時速30〜60kmと拡大している。
単眼認識ICの追加採用では、先行二輪車に対する衝突回避支援、道路標識の認識支援、ガードレールや側壁検知による車線や路線の逸脱警報なども可能になった。また、高感度イメージャーへの変更では、撮像性能が向上によって夜間の歩行者検知を実現している。
これらの機能向上を図る一方で、搭載スペースが限られる軽自動車や小型車向けを前提に従来と同等のサイズを維持した。開発で最も大きな課題となったのは、基板サイズを変更することなく単眼画像処理ICを追加することだった。
一般的に基板の部品密度が高くなると、半導体同士が近接し、冷熱サイクルによって生じる“はんだストレス”が大きくなるため、車載部品として信頼性の成立が困難になる。また、配線の自由度も低下するため、高周波回路設計の成立も難しくなる。小型ステレオ画像センサーのハードウェア設計チームは、冷熱サイクルによる“はんだストレス”を定量化する設計手法を新たに確立するとともに、高周波回路設計も一から見直すことで、部品の高密度化、車載信頼性、高周波回路設計の全てを成立させることに成功したという。
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