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半導体不足に右往左往させられた製造現場、スマート工場化の“隙間”にも注目FA 年間ランキング2021(1/2 ページ)

2021年に公開したMONOist FAフォーラムの記事をランキング形式で振り返ります。公開記事の1年間分のデータを集計した上位記事とそこから見えるFA業界の状況について解説。2021年のランキングは、現在も多くの企業が頭を悩ませている半導体不足に関する記事が上位に食い込んできたことが特徴となりました。

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 MONOistではフォーラムごとに1年間分のデータを集計した上位記事とそこから見える各業界の動向について紹介する「MONOist年間ランキング」を年末恒例企画として掲載しています。

≫MONOist年間ランキングのバックナンバー

 製造技術や製造現場の自動化技術、スマートファクトリー、工場の動向などの話題を取り上げるFAフォーラムですが、2021年に公開した記事の中での年間PV(ページビュー)トップ10は、現在も多くの企業が頭を悩ませている半導体不足に関する記事が多数食い込んだ傾向が見られました。それでは上位記事と、FA業界のトピックについてピックアップして紹介していきます。


「半導体不足」に振り回された製造業の1年

 2021年に公開されたFAフォーラム記事の中で最も読まれたのは、半導体工場である旭化成エレクトロニクスの事故調査報告書をまとめた「半導体不足の遠因となった、旭化成の半導体工場火災で起こったこと」となりました。

 現在の半導体不足については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による需給の急増減や、自動車分野やIoT、クラウド需要の高まりによる市場拡大の影響、2021年初の米国での寒波の影響などさまざまな複合的要因が考えられていますが、旭化成エレクトロニクスの火災の影響もその一因だとされています。製造委託先での代替供給は進んでいるとしていますが、工場そのものの復旧のめどは立っておらず、一部の半導体の供給量には影響が生まれました。

 記事では2021年9月に公開されたこの火災の事故調査報告書の内容をまとめていますが、この報告書そのものが、事故の内容や当日の経緯、調査の内容なども含めて非常に詳細に描かれており、工場の安全面の検討材料としても貴重な資料だと感じました。もし、記事にご興味を持っていただいた方がいれば、こちらもぜひご覧いただければと思います(旭化成エレクトロニクス 火災事故調査報告書(PDF)

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サプライチェーンが分断されるイメージ

 半導体不足という切り口でもう1つランクインした特徴的な記事としては、5位の「TSMCが産総研内に評価用ライン構築、経産省の次世代半導体技術支援で」があります。あらゆる機器がデジタル化していく中で、これらを支える半導体の確保が、国家としての経済安全保障の大きなテーマとして掲げられるようになったというのは大きなトピックだったと考えます。各国政府がさまざまな投資や規制などの手を打つ中で、日本政府としても国内で半導体生産基盤をいかに確保するかということを考え、TSMCの誘致を進めました。ランクインした記事は次世代半導体の共同研究プロジェクトとして、TSMCが参画するという話でしたが、その後、2021年11月にはソニーグループ傘下のソニーセミコンダクタソリューションズと共同で熊本県に新工場を建設することを発表しています。

 ちなみに、8位と10位には、半導体製造装置大手のアプライドマテリアルズによる半導体から見た業界動向を紹介する「アプライド マテリアルズ ブログ」の連載記事が入りました。これらも半導体関連だとすると、10本中4本を占める形となり、2020年までのランキングと大きく変わったところだといえます。半導体不足の状況は少なくとも2022年度(2023年3月期)上期までは続くと見られており、市場が正常化するとしても、2023年度以降のことだと見られておりますので、経済安全保障としての位置付けも含め、しばらく注目が集まりそうです。

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