3D CADのサーフェスモデリングの用途がイマイチ分からない……:テルえもんの3Dモノづくり相談所(6)(3/3 ページ)
連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第6回のテーマは「3D CADのサーフェスモデリングの基本的な使い方やその用途」だ。
隣り合う面との連続性を定義する
また、サーフェスで面を作成する際、隣り合う面との連続性を定義する場面があります。
- 接触連続(G0,C0)
接触しエッジを共有したサーフェス面 - 接線連続(G1,C1)
接触し正接したサーフェス面 - 曲率連続(G2,C2)
接触・正接し、かつ曲率を保持したサーフェス面
図7のように3D CADでは、隣り合う面との連続性を「ゼブラストライプ(シマウマ模様)」で確認できます。
一般的な3D CADでは、G2(曲率連続)までを考慮した面の作成になりますが、自動車デザインの場合には、G3(変化率が一定の曲率)以上の連続性を求める「クラスAサーフェス」を作成することもあります。
ソリッドとサーフェスの“ハイブリッドモデリング”
図8は、ソリッドとサーフェスの比較になります。
ご覧の通り、それぞれメリット/デメリットがあります。このうち、ソリッドのメリットとサーフェスのメリットを組み合わせてモデリングしていくのが、最適なアプローチ法(ハイブリッドモデリング)であり、設計業務の効率化、高度化につなげることができます。
最近の3D CADでは、CGソフトのように面を押したり、引いたりなどして直感的に曲面を作成できる機能を持ったものもあります。設計する製品で曲面を作成することが多い場合には、曲面作成機能が充実したツールの導入を検討するのもよいでしょう。
また、3D CADのサーフェス機能で曲面作成する場合、CGソフトのそれとは異なり、パラメトリックに形状を作成し、後からパラメータやスケッチを修正して形状を変更/コントロールすることが可能です。実際にモノとして作る形状を設計/デザインするという意味でも、画像やアニメーションを制作するCGソフトとは大きな違いがあります。最近ではCADとCGの境目が徐々になくなってきていますが、CADのサーフェス機能はパラメトリックに自由曲面を作成するための重要なツールだといえます。
サーフェスはソリッドよりも操作が難しいところがありますが、習得することでモデリングの幅を広げることができます。ご興味のある方は、まずは家電製品や自動車など身近にあるものを題材に、サーフェス機能の練習をしながらスキルを身に付けていってください。 (次回へ続く)
筆者プロフィール
テルえもん/本名:小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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