日産は2028年に全固体電池を実用化、EVをエンジン車並みのコストに:電気自動車(2/2 ページ)
日産自動車は2021年11月29日、オンラインで会見を開き、2030年度に向けた長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表した。
e-POWERやEVのパワートレインは、ジヤトコと協力して主要部品の統合や軽量化、効率向上を進める。2026年度までに、2019年度発売のリーフと比べて30%のコスト削減を目指す。パワートレインのコンポーネント小型化と、高エネルギー密度の全固体電池を組み合わせることにより、クルマの新たなパッケージングを実現するとしている。
EVの生産では、英国に設ける生産拠点「EV36Zero」のコンセプトを日米中に拡大する。英国同様にバッテリーの生産拠点も近くに設置することで、オペレーションを効率化する。EV36Zeroは、車両とバッテリーの生産だけでなく、再生可能エネルギーの活用も含んでいる。2026年度までにバッテリーの生産能力は53GWhを計画しており、需要に応じて拡張する。
二次利用を欧州や米国にも
EVの利活用では、駆動用バッテリーを走る蓄電池として活用するためのV2Xを2020年半ばに商用化する。また、日本でフォーアールエナジーとともに進めてきたバッテリーの二次利用の取り組みを、海外にも展開していく。2022年に欧州で、2025年に米国で、バッテリーを二次利用する施設を設立する。
充電インフラの拡充には、2026年までにパートナー企業と協力して最大200億円を投資する。地域ごとの普及状況や充電器の使われ方を踏まえ、日本は集合住宅やショッピングモール、欧州では高速道路、中国では郊外に充電インフラを手厚くする。
LiDARを2030年度までにほぼ全ての新型車に
運転支援システム「プロパイロット」搭載車は、2026年度までに250万台に増やす。運転支援技術で認知の領域を向上させるため、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)を開発する。2020年代半ばまでに開発を完了させ、2030年度までにほぼ全ての新型車に搭載する。
モビリティサービスを含め、自動運転技術の開発は、地域ごとのパートナーと協力して取り組む。欧州では英国交通研究所、中国ではWeRideといったパートナーと協力し、現地に特有の環境に合わせた自動運転技術を開発する。中国では上海にモビリティサービス導入を加速するためのチームを設置する。また、米国ではクラウド上のAI(人工知能)によって自動運転車を効率的に運行させる研究をNASAと進めている。日本では、横浜のみなとみらい地区や福島県浪江町で地域密着型の移動サービスの実証を継続する。
次世代EVのコンセプトカーも披露
オンライン会見の開催に合わせて、EVコンセプトカー4車種を披露し、EVの方向性を示した。4台のコンセプトカーの内、クロスオーバーEV「Chill-Out」は、新型EV「アリア」と共通の「CMF-EV」プラットフォームや、電動車向け四輪駆動システム(e-4ORCE)を採用する。一方、オープンカーの「Max-Out」や、ピックアップトラックの「Surf-Out」、SUVの「Hang-Out」は、2028年度に量産する全固体電池を採用した、次世代のEVという位置付けだ。進化したe-4ORCEやプロパイロットも搭載する。
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