自動車産業の魅力は新型車だけじゃない、CASEやソフトウェアならではのやりがい:車載ソフトウェア(3/3 ページ)
日本自動車工業会(自工会)は2021年11月27日、オンラインイベント「JAMA次世代モビリティキャンパス2021」を開催した。乗用車メーカーや二輪車メーカー、商用車メーカーの現場の社員が参加し、従来の製品の枠にとどまらない「モビリティ」の将来や、ソフトウェアエンジニアが活躍する領域について語った。
多様なソフトウェア人材が働く自動車業界
2つ目のパネルディスカッションでは、自動車業界のソフトウェア開発の最新動向や、ソフトウェア開発の楽しさをテーマに各社のソフトウェアエンジニアが語った。
エンジン制御開発を経てAI(人工知能)活用に携わっているダイハツ工業のエンジニアは、AI技術が必要とされるのは情報系ばかりではなく、エンジンなどきめ細かい制御が求められる機械や、異音検知など人の感覚に頼る工程でも同様だと訴えた。
SUBARU(スバル)のエンジニアは、樹脂部品を設計するサプライヤーから転職して入社した。前職の業務とは関係なく独学でAIを勉強し、AI活用の世界的なビジネスコンペ「kaggle」で12位に入賞。3次元での環境認識、動き方の予測、ぶつからない経路の選択など自動運転技術にAIが必要とされているが、そもそも実装できるかもまだ分からないものに取り組む魅力を感じ、他の業界も検討した上で自動車業界に残ることを選んだ。AIは個人でも始められて、コミュニティーを通じて他の開発者と議論ができることなどが魅力だという。
三菱自動車のエンジニアは、制御によってクルマの特性が変わることに楽しさがあると語った。設計者に言われた通りにつくるだけでなく、設計者の目線に立ってクルマの目指すところを作り込んでいくことができ、ソフトウェアを異なるモデルや仕向け地に水平展開する環境構築といった新たなチャレンジもできるとアピールした。
ホンダのエンジニアは、生産ラインをAIで効率化する中での苦労を語った。ハードウェアとソフトウェアのぶつかり合いで相性も決して良くないが、ハードウェア側にヒアリングしながらいかに貢献できるか試行錯誤し続けているという。また、車載情報機器でのオープンソースソフトウェア活用や、Google(グーグル)をはじめとするテック企業との協力など、他社との協力を重視する姿勢に変わっていることを強調した。
楽天やヤフージャパンを経てトヨタ自動車に入社したエンジニアは、自分が書いたソースコードでモノを動かせることが製造業ならではの楽しさだと語った。自動車の本体だけを開発する時代ではなくなり、さまざまな興味関心や挑戦を受け止める土壌があるとアピールするとともに、サプライヤーに任せていてはスピードが遅くなるためソフトウェアの内製化が進んでいると説明した。
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