Bluetooth 5.0の長距離通信性能の評価結果を発表、最大通信距離が3倍以上に:製造業IoT
ムセンコネクトは、Bluetooth 5.0から採用されている長距離通信機能「LE Coded PHY」に対応したBluetooth Low Energyモジュール「LINBLE-LR1」の開発と、同モジュールの通信性能の評価結果について発表した。
ムセンコネクトは2021年11月11日、Bluetooth 5.0から採用されている長距離通信機能「LE Coded PHY」に対応したBluetooth Low Energyモジュール「LINBLE-LR1」の開発と、同モジュールの通信性能の評価結果について発表した。
調査結果によると、直線の見通しが確保できる場所での通信は、PHYによって通信距離性能が異なり、2M PHY<1M PHY<LE Coded PHYの順で通信距離が長くなった。
同じ環境でBluetooth Classic Class 1モジュールと比較計測したところ、LINBLE-LR1では最大通信距離が3倍以上となることも確認された。
一方で、屋外や住宅地での通信では、観測点全22箇所のうち、直線の見通しが確保された6箇所のみで定点との通信が確認できた。残りの16箇所では、建物などの障害物により電波が遮蔽(しゃへい)され、通信できなかったとみられる。
屋内通信では、オフィス2階の端に定点を設置し、2階と1階にそれぞれ3箇所の観測点を設けた。定点と同じ2階の観測点では全て通信を確認できた。ただし、定点からの距離が離れるほどスループットが低下している。定点と階が異なる1階ではさらにスループットが低下し、1階の中でも定点からより離れた観測点(下図の5、6)では通信自体ができなかった。
続いて、高さ約72mの地上18階と真下に位置する地上との間で通信したところ、LE Coded PHYでは通信成功率が100%、1M PHYおよび2M PHYでは0%となった。ただし、LE Coded PHYを用いた場合も、高層階側のLINBLE-LR1を窓から遠ざけるにしたがって通信成功率が低下した。窓からの距離が1mでは60〜80%、2mでは20〜40%、3mでは0%となった。
これらの結果から、LE Coded PHYは、見通しがよい場所では従来より長距離の通信が可能だが、障害物がある場合や電波が回折する場合は安定した通信が困難となることが判明した。
ムセンコネクトでは、さまざまな状況下において安定したBluetooth通信が必要な場合は、最大通信距離や通信最大出力といったカタログ上の数値からモジュールを選定するのではなく、選定後に実施する評価プロセスやその結果を重視することが望ましいとしている。
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