低コストで高精度なUWB位置情報タグ、人やモノをリアルタイムトラッキング:物流のスマート化(2/2 ページ)
技術商社のリンクスは2021年11月16日、リアルタイムロケーションシステム(RTLS)「KINEXON RIoT」の提供を同月25日より開始すると発表した。同製品と組み合わせて使用する「UWB位置センサー」は2022年以降の提供開始となる。
メタデータを送信可能
UWB位置センサーにも、タグのID、3軸の位置情報データ、データ取得時のタイムスタンプに加えて、特定の座標空間が示す場所のラベル(メタデータ)を送信できるという特徴がある。
通常、センサーから取得したローデータにおいて、座標データは単に数字の羅列として送られてくる。ただ、この情報だけでは、その座標が何に該当する場所なのかが分かりにくい。一方でUWB位置センサーは、例えば(100,100,100)の座標が示す場所が「工場の生産ライン」である、といった情報を付与できる。タイムスタンプの情報と組み合わせることで、「何が、いつ、どこで、どのくらい移動したか」を把握しやすくなる。ラベルの情報をトリガーにすることで、さまざまな自動化システムと連携することも可能だ。
また、UWB位置センサーは従来のUWB対応のタグ製品と比較して、10分の1程度の価格を実現している。和島氏は「RFIDは直接タグを読み取り機にかざさなければ情報が取得できず、Wi-FiやBluetoothなどは最大5m程度の誤差が生じるなどデメリットがある。一方で、UWBは誤差数cm以内で毎秒200回の位置データを送信できる上、高精度データの取得が可能だ。しかし、高価格だったためトレーサビリティー用途ではなかなか普及が進まなかった。iPhoneやキーレスシステムなど民生機器での活用が広がったことで技術進展が進み、コストダウンにつながった」と語る。
リンクスでは2026年までに、KINEXON RIoTとUWB位置センサーで5億円の売り上げ達成を目指す。
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