EV市場向けの高速、高精度加工用順送プレス加工自動化システムを発売:FAニュース
アマダプレスシステムは、EV市場向け順送プレス加工自動化システム「SDEW8010i III+ALFAS-03ARZ」を発売した。ダブルクランク構造のデジタル電動サーボプレスと高速NCロールフィーダの融合により、高速、高精度な加工が可能だ。
アマダプレスシステムは2021年10月15日、EV市場向けの高速、高精度加工用順送プレス加工自動化システム「SDEW8010i III+ALFAS-03ARZ」を発売した。価格は4300万円(税別)で、年間20システムの販売を目指す。
SDEW8010i III+ALFAS-03ARZは、スライドモーション制御機能を維持しつつ、生産性や操作性を向上させた「i III」制御を搭載。ダブルクランク構造のデジタル電動サーボプレス「SDEW-8010i III」と、高速NCロールフィーダ、アップループタイプレベラーで構成される「ALFAS-03ARZ」を融合している。同年9月に発売した「SDE-1515i III+ALFAS-03KR」と同様に操作画面と制御が一体化しており、段取り操作の簡易化や作業負担の削減に貢献する。
SDEW-8010i IIIは、高剛性GORIKIフレーム初のダブルクランクサーボプレスで、加圧能力は800kN。EVの車載電装部品は非対称品が多く、加圧の際は前後左右で偏心荷重に対する剛性を確保する必要がある。そのため、スライド部の8面ギブガイドとダブルクランク構造により、高い耐偏心荷重特性を備えた。独自の高速振り子モーションを追加したことで、安定した高速、高精度加工が可能になり、生産性を向上する。
新開発のALFAS-03ARZは、トップスピードを従来のロールフィーダの約4倍にした高速NCロールフィーダとアップループタイプレベラーで構成される。サーボモーターの速度と精度を直接フィードロールに伝達できるよう、サーボモーターとフィードロールをカップリングで直結するバックラッシュレス構造を採用。EV市場で使用される銅や電磁鋼板、アルミなどの材料に考慮して、レベラーはロール清掃がしやすい構造になっている。
ロールフィーダのリリース駆動は、エアシリンダ式からカムを用いるサーボリリース機構に変更。また、材料の仕様に合わせてフィードロールに加える圧力を調整できるデジタル加圧を採用し、最小のリリース量と最適な加圧力を設定可能になった。これにより、材料の傷つきや騒音の減少、ロールフィーダの耐久性アップ、エア消費の削減が可能になる。
また、斜めに配置したアップループタイプレベラーと簡易アナログループ制御により、アンコイラ、レベラー、ロールフィーダ間のループ量が短縮した。その結果、同社のダウンループタイプロールフィーダと比較して約40%省スペース化している。材料やその仕様に応じてレベラーの角度、材料ガイドの形状を調整可能で、適切なループを形成して安定した送りができる。
システム全体のサイズは5938×2903×1920mm。NCロールフィーダが対応可能な板幅は50〜300mmで、板厚は0.2〜1.0mmだ。コイル質量は最大200kg、コイル外径は最大1200mm、トップスピードは最高6.0m/秒となっている。
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