IoT標準搭載が追い風に、アマダが目指す板金業界のIoT基盤構築:CEATEC 2019
アマダは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)に3年連続で出展し、同社が展開する板金装置のIoT(モノのインターネット)ソリューション「V-factory」を中心に、デジタル化で得られる板金工場での新たな価値を訴求した。
アマダは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)に3年連続で出展し、同社が展開する板金装置のIoT(モノのインターネット)ソリューション「V-factory」を中心に、デジタル化で得られる板金工場での新たな価値を訴求した。
IoTで板金工場の生産性を改善へ
アマダでは2018年5月からIoTソリューション「V-factory」の展開を開始。「V-factory」はIoTを活用した板金装置の稼働状況見える化や遠隔サポート、そして板金加工を含む複雑な生産現場における製造支援を可能とする総合ソリューションだ。アマダが提供する機器や金型、ソフトウェアの情報を、独自の通信ゲートウェイ「V-factory Connecting Box」を通じて収集することで各種サービスを実現している。
アマダ 執行役員 サービスBiz推進部門長の横山匡氏は「『V-factory』の利用率は急速に高まっている。さらに、利用した上での問い合わせなども大きく増えており、ようやく板金装置を使う上のデータの共有基盤が生まれたという手応えを感じている」と語る。
その要因となったのが「Vfマシン」の提供開始である。アマダでは2019年4月から、主力機種のほとんどで、「V-factory Connecting Box」を標準搭載し、マシンから直接「V-factory」に接続可能とする「Vfマシン」としている。
横山氏は「『V-factory』への対応を標準モデルで行えるようにしたことが、利用率の急速な向上に大きく貢献したことは間違いない。多くの工場で実際に『V-factory』を使ってもらえるところまではようやくこれた。今後はこれを継続的に活用してもらい、サービス基盤や生産支援の基盤など新たな価値提供の場としていくことが重要だと考えている」と述べる。
CEATECではこれらの土台が整ってきた「V-factory」により得られる板金工場の価値をデモで紹介。板金装置で稼働が停止した際に、その不具合の様子を遠隔のアマダサポートセンターが、板金装置のデータを見ながら診断し、トラブル解決を実現するというものだ。
横山氏は「実際にトラブル時の相談なども非常に増えてきている。また一時的なトラブルの解消だけでなく、継続的な生産改善に対する相談も増えており、新たな価値提供につなげていける手応えを感じている」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 機械が最高のパフォーマンスを発揮する工場へ、アマダが描くスマート化の理想像
板金加工機械大手のアマダは2018年5月から中小板金工場向けのIoTソリューション「V-facatory」の本格展開を開始したアマダ 執行役員 ベンディング事業本部長 アマダIoT(V-factory)推進プロジェクトリーダーの横山匡氏に話を聞いた。 - 軌跡をコントロールするレーザー加工技術、IoTによる自動化など工場の進化を訴求
アマダグループは2019年5月18日〜6月22日までユーザーイベント「AMADA INNOVATION FAIR 2019」(同社伊勢原事業所)を開催。その中で生産性と精度の両立を実現する新たなレーザー加工技術「LBCテクノロジー」搭載のファイバーレーザーマシンや、IoT(モノのインターネット)を活用した新たな工作機械の活用など、さまざまな新製品や新技術を紹介している。 - 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。 - 自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。 - 見えてきたスマート工場化の正解例、少しだけ(そもそも編)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。 - スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。