スーパーコンピュータで動作する、CAE構造シミュレーションソフトウェア:CAEニュース
Ansysは、富士通のスーパーコンピュータで動作する、CAE構造シミュレーションソフトウェア「Ansys LS-DYNA」を発表した。64ビットArmアーキテクチャベースの富士通スーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX1000」「PRIMEHPC FX700」上で動作する。
Ansysは2021年10月15日、富士通のスーパーコンピュータで動作する、CAE構造シミュレーションソフトウェア「Ansys LS-DYNA」(以下、LS-DYNA)を発表した。より短時間で高精度な結果を提供可能になることで、計算によるエネルギー消費を削減し、持続可能な製品開発を支援する。
現在、大量のエネルギーを消費するHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の需要が増加している。一方で、多くの企業が持続可能性への取り組みに注力しており、エネルギー消費を抑えるグリーンコンピューティングに注目が高まっている。
LS-DYNAは、64ビットArmアーキテクチャベースの富士通スーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX1000」「PRIMEHPC FX700」上で動作する。「PRIMEHPC」シリーズは、スーパーコンピュータ「富岳」と同じアーキテクチャを採用しており、高性能かつ省電力性に優れる。
このハードウェアプラットフォーム上でLS-DYNAを動作させることで、CAEのワークロードをエネルギー効率の高いスーパーコンピュータにオフロードできる。これにより、忠実度の高い結果をより短時間で提供可能になり、計算によるエネルギー消費や製品コストを削減する。
現在、単精度バージョンを提供中で、2022年中に倍精度バージョンをリリースする予定だ。PRIMEHPC FX1000で単精度バージョンを使用した場合、「PRIMEHPC FX100」の2倍以上速いという結果が出ている。
同社は、今後追加するソフトウェアソリューションを統合し、PRIMEHPC FX1000、FX700に対応させる。併せて、LS-DYNAが他のArmベースのソリューションプロバイダでも使用できるよう進めていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「富岳」で新型コロナ飛沫の大量計算を実施、感染リスクはどこにある?
理化学研究所のスパコン「富岳」を用い、コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する飛沫の飛散シミュレーションが実施されている。理化学研究所が独自開発する流体シミュレーションソフトウェア「CUBE」による飛散シミュレーションの概要、注目すべき結果などについて、理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科 教授の坪倉誠氏に話を聞いた。 - ヤマ発が語る、バイク開発に不可欠な「ほこり入り解析」の新手法とその妥当性
ヤマハ発動機は、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」において、「モーターサイクルのほこり入りCFD解析について」と題し、CFDソリューション「PowerFLOW」をモーターサイクル(オートバイ)開発に適用した取り組みについて紹介した。 - シミュレーション主導設計の実現に向けた八千代工業の挑戦
八千代工業は、ダッソー・システムズ主催の「Dassault Systemes User Conference 2019」において、「CATIA、Abaqus、Isightを使った樹脂製燃料タンクの最適設計技術の構築と設計者展開」をテーマに講演を行った。 - 仮想実験室からデジタルツインへ、富岳が実現する自動車業界のCAEの形とは
ヴァイナスのユーザーイベント「VINAS Users Conference 2019」で、理化学研究所 計算科学研究センター・神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻 チームリーダー・教授/博士(工学)の坪倉誠氏が登壇し、「HPCシミュレーションとデータ科学の融合による新たな自動車空力について」をテーマに講演を行った。 - 高額投資なしで大規模解析の計算時間が9分の1に! ケーヒンのクラウドCAE活用
「ANSYSものづくりフォーラム in 東京2019」におけるケーヒンの講演「クラウドを用いたCAE開発工数/環境改善の提案」の内容を紹介する。 - マスクの着用効果をCFDで解析、くしゃみをした際に液滴はどう飛散するか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い、ソフトウェアクレイドルは、同社のCFD(数値流体力学)ソフトウェア「scFLOW」を用いて、くしゃみによる微粒子の飛距離が、防護なし、肘の内側による防護、マスクの着用でどのように変化するのかを解析し、その結果をレポートにまとめた。