RTOSベースの組み込みソフトウェア開発プラットフォームがRust言語に対応:組み込み開発ニュース
京都マイクロコンピュータは、RTOSベースの組み込みソフトウェア開発プラットフォーム「SOLID」について、次世代プログラミング言語「Rust」に対応した新バージョン「SOLID Ver.3.0」をリリースすると発表した。
京都マイクロコンピュータは2021年10月20日、リアルタイムOS(RTOS)ベースの組み込みソフトウェア開発プラットフォームの最新版「SOLID Ver.3.0」を発表した。バージョンアップにより、次世代プログラミング言語「Rust」に対応する。発売は同年12月の予定だ。
SOLIDは、Armプロセッサで動作するRTOS「SOLID-OS」と、Windows PCで動作する統合開発環境「SOLID-IDE」で構成され、TOPPERS/ASP3およびTOPPERS/FMP3に対応する。コンパイラはGCCとLLVM/Clangが利用可能だ。
SOLID Ver.3.0では、IDEビルドツールとソースコードデバッガがRustに対応する。SOLIDが2021年9月末にRustのTier3ターゲットとなったことで、SOLID-OSで多くのRustライブラリが利用可能になった。SOLID-OS/TOPPERSのタスクやハンドラをRustで記述できる。Rustコンパイラは公式配布版のバイナリリリースを使用する。
新機能として、スレッド間のデータアクセス競合を検出する機能「スレッドサニタイザ」を提供する。LLVM/Clang環境で利用可能で、同期しない複数のスレッドが同一メモリにアクセスする際、少なくとも1つのスレッドが書き込みしている場合の競合を検出し、デバッガが競合箇所を通知する。これにより、プログラムが大規模化しても、スレッド間のメモリ競合を検出しやすくなる。
Rustは、安全性、速度、並行性に重点を置いて開発中のオープンソース言語だ。C++のようなコンパイル型で、低いオーバーヘッドとメモリ管理の安全性から、インターネットや組み込み分野で採用が進んでいる。
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