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勝ちが多くても負けが多くても、無謀な賭けにつながることが明らかに医療技術ニュース

京都大学は、事前に多くのギャンブルに勝った経験の有無が、その後のギャンブル中における感情や、ギャンブルセッション中、無謀な賭けをする時期と関連することを確認した。ギャンブル依存症の効果的な予防法の開発に寄与することが期待される。

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 京都大学は2021年10月20日、事前のギャンブルにおいて、勝ちあるいは負けが多いと「無謀な賭け」につながりやすいという現象についての検討結果を発表した。

 今回の研究では、日本人の大学生と大学院生(男女63人)を対象として、勝敗数を操作して勝ち群、負け群、中間群を作るギャンブルを30回試みたあと、勝敗数を操作しないギャンブルを100回試行した。

 結果の1つとして、勝ち負けの経験が、ギャンブル中の感情やリスク(危険性)、ベネフィット(便益性)に変化をもたらすことが分かった。事前に多くの勝ちを経験した参加者は、ポジティブ感情の低下やネガティブ感情の上昇などの変化が見られず、賭けに対してメリットがあると知覚する感情を維持していた。負け群はポジティブ感情が低下、ネガティブ感情が上昇。賭けに対するリスク知覚は上昇し、ベネフィット知覚は低下していた。

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多くの勝ち経験も多くの負け経験も、無謀な賭けを導く[クリックで拡大] 出所:京都大学

 2つ目に、勝ち群は実験の初期から、負けが見込まれる局面でも「無謀な賭け」をしやすいことが確認された。ポジティブ感情が高くネガティブ感情が低いとベネフィット知覚が高くなり、ベネフィット知覚が高いほど無謀な賭けにつながっていた。リスク知覚に関しては、無謀な賭けとの間に明確な関係性は見られなかった。

 3つ目は、負け群が無謀な賭けを実験の終盤に集中して行っていたことだ。この結果は、賭け行動の時系列的な変化を考慮する必要があることを示している。

 ギャンブル依存症の中核症状として、損失を取り返そうとする「負け追い」行動がある。今後の研究を通じて、負け追いと無謀な賭けとの関連性が導かれ、ギャンブル依存症の効果的な予防法の開発に寄与する可能性がある。

 なお、今回の研究では、勝ち群と負け群で無謀な賭けのしやすさに統計的な優位差はなかった。今後、研究グループは、賭けの無謀さとスキルや思考スタイルなど個人差に関わる要素についても検討する必要があるとしている。

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