EVの価格競争は「100万円以下のクルマを必要とする5億人」のためにある:電気自動車(2/2 ページ)
日本電産は2021年10月26日、オンラインで2022年3月期第2四半期(2021年4〜9月期)の決算説明会を開催した。
価格競争の節目は2025〜2030年
EVの価格競争に向けた分水嶺(れい)は2025年だと予測する。この時期を境に、伝統的な自動車メーカーはコスト競争力を重視し、駆動用モーター(トラクションモーター)を内製から外部調達に切り替える動きが活発になると見込む。コスト面が評価され、需要が急増するという。
モーターサプライヤーとの合弁事業やアライアンスを強化する自動車メーカーも出てくる。こうしたケースでは、駆動用モーターの需要は漸増と想定する。すでに現時点で外部調達を積極的に選択する自動車メーカーは、外部調達が完全に定着し、需要は高い水準で推移すると見込む。
こうした自動車メーカーの方針により、駆動用モーターなどの電動車の主要部品を独立系のサプライヤーから調達する時代に突入するとしている。「自動車はロングタームでやっていく事業だ。5年、10年あるいは50年という視点でEVに取り組んでいく。伝統的な自動車メーカーがクルマの走る機能を最初から外部調達するとは思っていない。順を追って需要に対応していく。自動車メーカーが、必要な駆動用モーターの数量を自前でまかなえなくなる時が来る」(永守氏)。
既存の車両セグメントのEV化に対応したサイズや出力の駆動用モーターを展開、超小型EVや電動バイク向けに小型のモーターもそろえる。そうした小型の駆動用モーターは、車載部門ではなく精密小型モーター部門で軽薄短小化とコスト低減を推進する。電動バイクはインドと中国が重点市場になるとしている。
価格競争に備えて、駆動用モーターの主要部品の内製も進める。現在、中国やセルビア、北米で生産体制を整えているが、「内製化を競争力にするには、重要な生産設備を社内で用意するための資金や人材の投入が必要だ。日本電産グループで持っている生産設備や技術を活用することでコスト競争力を高め、2030年以降の駆動用モーターの大量生産に備える」(永守氏)。
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