AGV+協働ロボットでツール搬送を自動化、デジタル人作業支援も行うDMG森精機:スマート工場最前線(2/2 ページ)
DMG森精機は2021年9月30日、伊賀事業所 メディアデーを開催し、同社伊賀事業所での先進の生産技術活用について説明した。本稿では、移動型ロボットを活用したツール管理の取り組みと、システムによる人の作業支援についての取り組みを紹介する。
人の組み立て作業をデジタルで支援
伊賀事業所では、組み立て工程における人作業支援なども進めている。DMG森精機では2020年12月に米国のスタートアップ企業Tulipが開発したデジタル化により製造現場の生産性向上を支援する「TULIP(チューリップ)」を国内展開する新会社「T Project」を設立したことを発表しているが、このTULIPを伊賀事業所に導入することで、人作業における支援やミス低減に取り組んでいる。
TULIPは製造現場の課題解決をデジタル化で支援する製造支援アプリケーション作成プラットフォームである。作業手順書や品質管理、機器モニタリングなど多様な機能を持つアプリケーションを、プログラミングレスで現場担当者自身が簡単に作成できることが特徴だ。
紙の作業手順書や品質チェックシートのデジタル化、生産データの見える化、工程改善などを簡単に行え、製品仕様や工程の変化にも柔軟に対応できる。さらに、製造現場では計測機器や既存システムなどとも連携可能だ。そのため、現場での改善活動に合わせてシステムを進化させたり、現場の機器やセンサーを組み合わせた便利な使い方が開拓できる点が強みとなっているという。
送り箱組み立てエリアで導入
伊賀事業所では、第2組み立て工場において、ボールねじで使用される筐体である送り箱の組み立てラインでこの「TULIP」を採用。ドライバーなど各種機器と連動させ、各種作業や品質記録をデジタルデータとしてリアルタイムに記録させることで、作業者の負荷低減に加え、作業効率や品質の改善にもつながっているという。
「大きく分けて3つの効果が生まれている。1つ目は品質記録の信頼性の向上だ。ツールからダイレクトに記録が取り込まれるため、記録の抜け漏れやミスがなくなり、記録をベースに改善などを進めやすくなった。2つ目はリアルタイムで実績が取れるという点だ。作業の結果がすぐに把握できるために改善のスピードを上げることができる。3つ目が、データの再利用性の向上だ。集めたデータは現場だけでなくクラウドに送り込んでおり、後工程のデータや前工程のデータと組み合わせることで製品の流れ全体を考えた改善なども行えるようになる」(DMG森精機)と価値を訴えている。同社ではさらにこれらの人作業支援の活用の拡大にも取り組んでいく方針を示している。
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