超短パルスレーザーと非接触3D計測で、高精度に除去加工する光加工機:FAニュース
ニコンは、光加工機「Lasermeister 1000SE」「Lasermeister 1000S」を発売した。超短パルスレーザーと非接触3D計測を用いた除去加工により、高精度な平面仕上げや微細加工ができる。
ニコンは2021年9月29日、光加工機「Lasermeister 1000SE」「Lasermeister 1000S」を発売した。超短パルスレーザーと内蔵の非接触3D計測により、高精度かつ容易に除去加工ができる。
光加工機は、レーザーによってさまざまな高精度加工ができる、同社独自の加工機だ。これまでに積層造形用途の光加工機「Lasermeister 102A」などのシリーズを発売しており、今回新たに、除去加工をするLasermeister 1000Sシリーズが加わった。
Lasermeister 1000Sシリーズは、加工物に超短パルスレーザーを照射して除去加工をした後、内蔵する非接触3D計測で加工物の表面形状を取得し、フィードバックする。この工程を自動で繰り返すことにより、幾何公差サブμmレベルの高精度な平面仕上げや微細加工ができる。必要な精度に近づけるための加工、計測の繰り返し作業には、これまで複数の機器が必要だったが、Lasermeister 1000Sシリーズは1台でこの作業を実行できる。
Lasermeister 1000SEは、超短パルスレーザーと非接触3D計測を用いた加工システムにより、高精度な除去加工ができるエントリーモデル。Lasermeister 1000Sは、Lasermeister 1000SEの基本性能に加えて、より精度の高い座標補正機能を備えており、広範囲でも加工物の凹凸や傾斜などを正確に検出して、高精度な平面仕上げや微細加工ができるスタンダードモデルだ。
Lasermeister 1000Sシリーズのレーザー加工は、刃物などの工具を加工物に押し当てる必要がなく、固定具や基準面なども不要になるため、工程や加工コストを削減できる。一般的な加工機を使用する場合に必要な、対象物の位置決めといった段取り作業も必要ない。
さらに、Lasermeister 1000SシリーズにCADで設計、製図したデータを入力するだけで、加工データを自動で作成する。CAMを用いた加工プログラムを別途作成する必要もなくなるため、作業者のスキルやノウハウを要する工程の削減につながる。
加工用レーザー光源として採用した超短パルスレーザーは、熱影響を抑えることができる。これにより、金属に加えてセラミックスや光学ガラスなどの破損しやすい材料、ダイヤモンド、超硬合金などの難加工材料など、さまざまな材料の高精度除去加工に対応する。
また、加工面の精密な計測データを活用することで、次の工程での再計測が不要になる。加工した全数の計測データは品質および工程管理などに活用できるほか、生産ラインの自動化、無人化などDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献する。
Lasermeister 1000Sシリーズの機械寸法は2880×1950×2290mmで、最大加工寸法は500×500×180mm、最大加工重量は80kgとなっている。
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