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知財活動を社員に「わがこと化」してもらうための組織づくりベンチャーに学ぶ「知財経営の実践的ヒント」(2)(2/2 ページ)

貧困解決を目指すFinTechサービスを支える技術(IoTデバイスとプラットフォーム)を保有し、知財ポートフォリオ形成による参入障壁構築を進めるGlobal Mobility Service。同社の知財戦略と知財活動からビジネス保護に使える知見を紹介する。第2回では知財活動を社員に身近に感じてもらうための組織作りの考え方を取り上げる。

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知財をネタにユルく雑談「知財フリートーク」

 社内風土を醸成するための当社独自の取り組みとして、「知財フリートーク」の事例を紹介します。当社では毎週30分、身近な知財のニュースやブログなどを題材にフリートークを行う時間を設けています。この“知財をネタに雑談”する活動は2021年2月に始めてから既に20回以上開催しています(同年9月末時点)。経営層でも現場社員でも誰でも参加は自由で、中入りや中抜けも可能なユルい会議体となっています。

 社内で評判が良かった題材としては、知財を身近に感じる事例が掲載されたブログ※2や知財権が活用されたニュース(訴訟や模倣品対策など)が挙げられます。社員との対話を通じても実感することですが、知財を身近に感じる事例をネタに雑談することは、社員の知的好奇心を刺激するキッカケづくりにつながります。

※2:一例を紹介すると「ラーメンに集中!一蘭の特許」「特許から教わるパラパラチャーハン【特許レシピによる料理6】」などを題材に用いた。

 日常生活や仕事で目にしている商品やサービスには何かしらのアイデアが実装されています。そこで一歩踏み込んで、「知財がどのように関わっているのだろうか」と興味関心を持つことで、モノゴトを多面的に見ようという気付きを得られるのではないでしょうか。このような地道な社内コミュニケーションの継続が、知財を身近に感じる社内風土を醸成し、知財観点での「機会の最大化」や「リスク最小化」につながり、ゆくゆくは企業競争力の源泉になると考えています。


知財フリートークの様子[クリックして拡大] 出所:GMS

 こうした考えの下、個人的にはコミュニケーション活動の中心に知財の機能を組み込む組織体制が増えていくのではないかと考えています。なおこの点に関しては、社外活動の一環でメンバーとして参加している知財ガバナンス研究会※3において、他メンバー企業と意見交換もさせていただいています。

※3:「知財ガバナンス研究会」の発足とメンバー企業募集のお知らせ

小括

 今回は、社内コミュニケーションを活性化させるための組織体制と具体的な事例を中心に紹介してきました。最終回は、外部とのコミュニケーションを重視した知財活動の事例と効果についてご紹介していければと思います。また、「コミュニケーションを重視した知財活動」をテーマに登壇した第57回知財実務オンラインもご笑覧いただけましたら幸いです。

≫連載「ベンチャーに学ぶ『知財経営の実践的ヒント』」の目次

筆者紹介

高橋 匡(たかはし ただし)

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コミュニケーション本部 知財グループ課長 AIPE認定 知的財産アナリスト(特許)

加工食品メーカー、刃物総合メーカーにて少数知財部門立上げを経験後、2021年より現職。
顧客視点での提案を強みとし、社内外におけるコミュニケーションを重視した知財活動に従事。

主な活動

2018年度特許庁事業「高度な民間特許情報サービスの発展に関する調査」にかかわるデザイン思考を用いたワークショップに参加。
2021年に知財ガバナンス研究会にメンバーとして参加し、知財情報を活用した社内外とのコミュニケーションの活性化検討する会(知財情報活用分科会)の発起人として副代表を務める。
同年、特許庁主催の第2回IPランドスケープセミナーにて講師を担当するなど、知財人財の育成にも携わっている。

Twitter
https://twitter.com/T_Tadashi0912

特許庁主催第2回IPランドスケープセミナー(第2部)講師(動画)
https://ipeplat.inpit.go.jp/Elearning/View/Course/P_coseview.aspx?JoqiTZZ2DWEYvYIe40bgoaPNpjpoT2h%2b5fe7wg9gAMudsPw%2f3EL68rd19zeU%2fndb#no-back

『一橋大学 吉岡(小林)徹 × GMS高橋匡 | スタートアップにおける知財』(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=aJZBQrQ3lEg

第57回知財実務オンライン「コミュニケーションを重視した知財活動」(動画)
https://youtu.be/lcyhgfi-Jw8


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