2D図面の“一義性”を考える【その3】補助投影図を使用した図形の表し方:3D CADとJIS製図(5)(4/4 ページ)
連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第5回は、補助投影図や部分投影図、局部投影図などを使用した図形の表し方を詳しく取り上げる。
3.局部投影図
次に、局部投影図について説明します。JISを確認してみましょう。
10.1.4 局部投影図(※JIS B0001:2019より抜粋/編集)
対象物の穴、溝など一局部だけの形を図示すれば理解できる場合には、その必要部分を局部投影図として表す。投影関係は、主となる図に中心線、基準線、寸法補助線などで結び付けて示す。
部品(製品)の穴や溝など1つの局部だけを図示化すれば、十分に理解できるような場合には、この局部投影図を使用できます。その一例として、図11のような図面をJISに従い描いてみました。軸部品に、機械要素のキー部品を取り付けるためのキー溝の加工指示を行う必要がありました。このキー溝を局部投影図として表しています。
このような軸部品の図面を、基本3面図の機能だけで作図してみると、図12のようになります。ご覧の通り、正面図も平面図も長溝穴以外に変化はないため、紙面のムダでもあり、またスッキリとした図面とはいえません。
4.その他
最後に、回転投影図についても簡単に触れておきます。JISの規定は次の通りです。
10.1.6 回転投影図(※JIS B0001:2019より抜粋/編集)
投影面に、ある角度をもっているために、その実形が表れないときには、その部分を回転して、その実形を図示してもよい。なお、見誤るおそれがある場合には、作図に用いた線を残す。
手描きや2D CADの時代、作図線を使用しながら、回転投影図を作図した記憶もありますが、SOLIDWORKSでは、そのまま回転投影図を作成する機能はありません。モデルによっては、投影図や断面図を作成する機能を駆使して、回転投影図を作成することも可能かもしれませんが、時間をかけずに、他の方法で設計者の意図を示した方がよさそうです。
まとめ
今回は、補助投影図について取り上げました。特に、複雑な形状の図面を作図する際は、設計者の意図を表現しながら、省スペースで、分かりやすい図面を作図することを心掛けてください。その際、CADソフトが提供する機能をそのまま使用するだけでは不十分かもしれないという点にも留意してください。
次回は、“分かりやすい図面を作図する”というつながりから、断面図について紹介します。お楽しみに! (次回へ続く)
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