4つの用途で積層造形市場を拡大、DMG森精機がAM搭載複合加工機新製品を開発:金属3Dプリンタ(2/2 ページ)
DMG森精機は2021年9月30日、旋削とミーリングを1台で行う複合加工機にレーザー金属積層造形技術であるアディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing、積層造形技術、以下AM)を融合したレーザー金属積層造形機「LASERTEC 3000 DED hybrid」を開発し、市場投入を開始すると発表した。
「LASERTEC 3000 DED hybrid」の特徴
新製品「LASERTEC 3000 DED hybrid」は、5軸の複合加工技術と金属積層技術を融合し、切削加工と金属積層造形を1台で行うDED方式のレーザー金属積層造形機である。φ400×1321mmまでの積層に対応するが、AMヘッドを旋回させることで、最大積層ワークサイズφ670mm×932mmの端面積層も可能とする。
パウダー供給装置から異なる金属材料粉末を切り替えて供給できるため、1つの素材の上に異なる材料の積層造形を可能としていることが特徴だ。複数の素材を融合させて1つの製品を造ることができる。また、パウダー供給装置は異なる金属材料粉末を混ぜ合わせて供給することもできるため、複合材の造形にも適しているという。
旋削/ミーリング主軸に金属材料粉末とレーザーを同時に照射するAMヘッドを搭載することで、B軸を加えた5軸の積層造形を実現する。切削加工を行う時はAMヘッドを収納し、切削加工も段取り替えなしのワンチャッキングでできるため工程集約に活用することが可能だ。パウダーノズルはコーティングに最適なコアキシャルノズルを搭載し、レーザー出力は3kWとしている。さらに、造形の精度に合わせて、スポット径3mmと1.6mmを切り替え可能だ。切りくずなどの影響を抑えるために、AMヘッドを使用しない時はAMヘッドストッカーに収納することも可能としている。
これらに加えて、多彩なサポート機能を搭載したことも特徴だ。「AM Assistant」機能として、溶融点の温度を測定する「Adaptive Process Control」や、パウダーノズルと溶融点までの距離を監視する「ワーキングディスタンスモニタリング」、パウダーの供給量をセンサーで制御する「自動パウダキャリブレーション」、粉末材の流量を自動調節する「光学式パウダー流量センサー」、完成したワークの品質を分析する「AM Evaluator」などを搭載している。廣野氏は「新製品は幅広い用途でR&Dではなく製造現場で使用してもらうことを想定している。そのため実際の現場で必要なサポート機能を充実させた」と狙いについて語っている。
「LASERTEC 3000 DED hybrid」の価格は1億3800万円(税別)としているが、これらの機能で市場開拓を進めることで「年間10台の販売を目指す」(廣野氏)としている。さらに、2030年にはDED方式のAM搭載機の売上高を「4〜5倍となる50億円としていく」と廣野氏は目標を語っている。
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