DMG森精機がパウダーベッド方式の金属3Dプリンタに参入:FAニュース
DMG森精機は、強化を進めている積層造形技術において、ドイツのREALIZERを子会社化し、パウダーベッド方式の金属3Dプリンタに参入する。
DMG森精機は2017年2月15日、強化を進めている積層造形技術において新たにパウダーベッド方式を用いた金属3Dプリンタ「LASERTEC 30 SLM」を発表した。
DMG森精機は、金属材料粉末とレーザを同時に照射し、積層と溶融を行うダイレクトエナジーデポジション(Directed Energy Deposition)を採用したLASERTEC 65 3D(5軸加工+AM機能搭載機)とLASERTEC 4300 3D(複合加工+AM機能搭載機)をラインアップ。ダイレクトエナジーデポジションは、積層と溶融を同時に行うため造形時間が早く、異なる金属材料粉末の積層や小型製品の造形、インペラやブレードといった高付加価値製品の補修などで活躍している※)。
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今回、新たにセレクティブレーザーメルティング(SLM)の技術力を持つ、ドイツのREALIZERの株式を50.1%取得して子会社化。アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing、積層造形)分野における技術革新を加速させる方針を示していた。
SLMは、材料粉末を一層ずつ敷き詰め、その後にレーザーで照射して、任意の部分を溶融させる積層造形方式。精密な造形が可能で、一体構造の製品や部品、一から製作する製品造形に適している。さらに、稼働軸が少なく、シンプルな機械構造のため、省スペースな機械設計が可能だ。REALIZERは、SLMの開発に一貫して取り組んでおり、20年以上の実績を持つ。
今後、DMG森精機では、SLMとダイレクトエナジーデポジションの両技術を取りそろえ、両技術を組み合わせることで、新しいアプリケーションの提供を目指す。ドイツ フロンテン工場で開催中の「DMG MORIフロンテンオープンハウス」で参考出展し、今後日本や他の地域でも順次公開予定としている。
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