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2021年上期の新車生産は2019年比13%減、変異株や半導体不足で回復半ば自動車メーカー生産動向(4/4 ページ)

2021年1〜6月(上期)の自動車産業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による世界的な市場低迷から着実に回復している様子が伺える結果となった。日系乗用車メーカー8社の2021年上期のグローバル生産は、全社が前年実績を上回り、8社合計では前年同期比30.0%増と2桁パーセント増となった。

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ダイハツ

 ダイハツの2021年上期のグローバル生産は、前年同期比28.2%増の79万8012台と2年ぶりに前年実績を上回った。国内生産は同19.4%増の49万6261台と2年ぶりに増加し、上期として過去最高を更新した。けん引役は登録車で、「トール」とトヨタ向けにOEM供給する「ルーミー」が販売好調で、上期の登録車生産で過去最高を記録。軽自動車も同31.3%増と高い伸びを見せた。

 インドネシアとマレーシアに拠点を構える海外生産も大幅に増加した。同46.1%増の30万1751台と2年ぶりにプラスへ転じた。東南アジアではCOVID-19感染拡大からの回復遅れていたため、前年実績が低水準で推移したことが反動増につながった。なかでもインドネシアは同55.6%増と大きく回復した。

 ようやく回復の兆しが見えた東南アジアだが、足元では変異株による感染拡大が広がっている国もあり、懸念材料となっている。6月はマレーシアでロックダウンを実施しており、ダイハツも生産が0台、販売も前年同月比95.3%減の1009台のみと、ビジネスに深刻な影響を与えている。ただ、インドネシアは回復が目覚ましく、生産台数は前年比5.8倍と大きな伸びを見せた。その結果、海外生産トータルでは、同38.8%増の4万903台と4カ月連続のプラスとなった。

 国内生産も好調で、同18.9%増の8万2544台と4カ月連続の前年超え。中でも登録車は同21.7%増と6月の過去最高を更新した。軽自動車も同17.4%増と好調だった。その結果、グローバル生産台数も同24.8%増の12万3447台と4カ月連続で前年実績を上回るとともに6月の過去最高記録となった。

三菱自

 ダイハツ同様に東南アジアでのビジネスボリュームが大きい三菱自も回復が目立った。2021年上期のグローバル生産台数は、前年同期比17.0%増の51万5152台と3年ぶりにプラスへ転じた。ただ、2019年実績と比べると24%減という実績で、半導体不足による稼働調整などが影響している。海外生産は前年同期比27.4%増の29万1035台と3年ぶりに前年実績を上回った。東南アジアでの回復が貢献しており、タイが同21.2%増、インドネシアが同48.8%増と主要市場がそろって大幅に増加した。いち早く市場回復が進んだ中国も同2.6%増とプラスを確保した。

 国内生産は同5.7%増の22万4117台と3年ぶりに増加した。国内販売では「eKスペース」(同43.9%増)や「デリカD:5」(同47.4%増)が好調だった他、北米向け「アウトランダー」なども貢献した。ただ、三菱自では半導体不足で3月から稼働調整を実施しており、回復に水を差す格好となった。

 6月単月のグローバル生産は、前年同月比51.8%増の7万4921台と3カ月連続のプラス。特に海外生産が回復しており、同75.2%増の4万3252台と4カ月連続で増加した。主力拠点のタイが同96.9%増と急伸した他、前年がロックダウンで生産停止していたインドネシアも貢献した。一方、中国は同33.9%減と大きな落ち込みを見せた。国内生産も回復傾向が続いており、同28.3%増の3万1669台と3カ月連続で増加。国内販売は伸び悩んだものの、同90.6%増と好調な輸出に支えられた。なお、6月は岡崎製作所など5拠点で生産調整を実施した。

スバル

 半導体不足の影響が色濃く表れたのがスバルだ。1月から6月まで生産調整を継続した結果、2021年上期のグローバル生産台数は前年同期比4.6%増の37万9385台と4年ぶりに前年実績は上回ったが、前年のコロナ禍で大きく落ち込んだ水準と同等の台数だった。

 国内生産は同6.9%増の24万2324台と5年ぶりに前年実績を上回った。新型「レヴォーグ」の受注が好調に推移し、北米での受注も伸びているものの、半導体不足による減産を余儀なくされている。海外生産に至っては、同0.8%増の13万7061台と2年ぶりに増加したが微増にとどまった。海外唯一の自社工場を構える米国は、前年がインディアナ州の外出禁止令により3月下旬から生産を停止し、5月まで大幅減少していたにもかかわらず同水準という厳しい状況だ。スバルは、米国の経済回復に伴い受注が好調で、需要に対して車両供給が追い付かない事態が続いており、在庫不足が深刻化している。実際に販売面にも影響が及んでおり、6月の米国販売は前年比2割減と低迷した。

 足元でも依然として半導体不足の影響が続いている。6月単月の米国生産は、部品供給の遅延なども重なり、前年同月比24.3%減の2万3733台と3カ月ぶりのマイナスとなった。一方、国内生産は前年の操業停止の反動により、同69.2%増の5万560台と3カ月連続で増加。その結果、グローバル生産台数は同21.3%増の7万4293台と3カ月連続で前年実績を上回った。

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