ニュース
新型コロナの簡易抗原診断の感度を10倍向上させる技術を開発:医療技術ニュース
物質・材料研究機構は、新型コロナウイルスの抗原であるN-proteinを濃縮、精製することで、新型コロナウイルス感染症の簡易診断の感度を大幅に向上させる材料「Smart Cov」を開発した。
物質・材料研究機構(NIMS)は2021年8月5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の簡易診断の感度を大幅に向上させる材料「Smart Cov」を開発したと発表した。COVID-19の抗原N-proteinを濃縮、精製することで、簡易抗原検査の感度が従来法より約10倍以上向上した。エジプト肝臓病センターとの共同研究の成果だ。
→特設サイト「新型コロナウイルス 製造業が直面する未曾有の試練」
Smart Covは、スマートポリマーと呼ばれる特殊な高分子材料とCOVID-19の抗体の複合体だ。スマートポリマーは温度に応じて溶解性が劇的に変化する性質がある。
Smart Covは、抗体がCOVID-19の抗原を捕捉した後に温めると、水に不溶化して沈殿する。沈殿したSmart Covを遠心分離することで、夾雑物質を除くと同時に抗原を約6倍に濃縮できた。この濃縮した抗原を用いてイムノクロマトグラフィー法による簡易診断を行うと、通常は目視での判断が難しい50pg/mL以下の抗原濃度でも陽性ラインを目視で確認できるようになった。
抗原検査は簡便かつ迅速に検査結果が分かるため、世界中のどこでも利用できるが、検出感度が低いことから偽陰性の問題があった。今回の手法を用いれば、誰でもどこでも30分程度での検査が可能になり、偽陰性患者による感染拡大を防げる可能性があるとしている。
関連記事
- ≫特設サイト「新型コロナウイルス 製造業が直面する未曾有の試練」
- IoTで倉庫環境の熱中症対策や感染症対策を実現、大和ハウスとNTTコムが協業で
大和ハウス工業とNTTコミュニケーションズは2021年8月20日、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL新富士II」において、熱中症やインフルエンザの発生リスクを見える化し、これらを予防する「倉庫環境監視IoTソリューション」の運用を同年8月23日から開始すると発表した。 - 独自の空気清浄技術により、浮遊する新型コロナウイルスを低減
三菱電機は、日本繊維製品品質技術センターとの共同実証実験において、同社の空気清浄技術「ヘルスエアー技術」が、実空間を模擬した1立方メートルの密閉空間に浮遊する新型コロナウイルスを5分間で99%以上低減することを確認した。 - 多様なウイルスを防御、弱毒生ワクチンの経鼻感染の有効性を確認
理化学研究所は、弱毒生ワクチンを経鼻感染させると、さまざまなウイルス株に対して感染を防御できる広域中和抗体が産生されるメカニズムを解明した。 - 3Dプリント技術を活用した医療機関応援プロジェクトを開始
DMM.comは、3Dプリント技術を活用した、クリエイター参加型の医療機関応援プロジェクトを開始した。3Dデザインを全国のクリエイターから募集し、販売した売り上げの一部を医療機関に寄付する。 - 結果を目視確認できる、ハンディタイプの新型コロナウイルス抗原検査キット
富士フイルムは、どこでも簡便、迅速に検査ができる、ハンディタイプの新型コロナウイルス抗原検査キット「富士ドライケムIMMUNO AGハンディCOVID-19 Ag」を発表した。検体滴下後の簡単な操作だけで、検査結果を10分程度で目視確認できる。 - 新型コロナウイルスを不活化する抗ウイルス性ナノ光触媒を開発
日本ペイントホールディングスと東京大学は、新型コロナウイルスをはじめ、さまざまなウイルスを不活化する抗ウイルス性ナノ光触媒を開発し、その不活化メカニズムを明らかにした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.