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新型コロナウイルスを不活化する抗ウイルス性ナノ光触媒を開発医療機器ニュース

日本ペイントホールディングスと東京大学は、新型コロナウイルスをはじめ、さまざまなウイルスを不活化する抗ウイルス性ナノ光触媒を開発し、その不活化メカニズムを明らかにした。

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 日本ペイントホールディングスは2021年7月15日、新型コロナウイルスを不活化する抗ウイルス性ナノ光触媒を開発したと発表した。東京大学との共同研究による成果で、新型コロナウイルス以外のさまざまなウイルスに対しても不活化効果を示す。

→特設サイト「新型コロナウイルス 製造業が直面する未曾有の試練」

 この光触媒は、東京大学が開発し、2012年に報告した酸化チタンと酸化銅からなる光触媒を基にしている。今回、酸化チタン粒子を約30分の1(4〜8nm)、酸化銅を約5分の1(1〜2nm)サイズに小さくし、ナノ粒子化した。その結果、表面積が拡大し、塗料の中での分散性が向上した。

 表面積の拡大により光触媒反応が促進され、分散性が向上したことで、ウイルスとの接触頻度が増える。また、用いるナノ粒子のサイズが光の波長より著しく小さいため、透明度が高まった。

 同光触媒では、1価の銅がウイルスを不活化する。酸化すると不活化効果の低い2価の銅になるが、可視光や紫外線などの光を当てることで、1価の銅に戻り効果を維持する。

 開発したナノ光触媒を加えたエナメル塗料をガラス板に塗装し、このガラス板に新型コロナウイルスを蛍光灯下で接触させた。その結果、感染可能なウイルス数は塗装していないガラス板の場合と比べて、3000分の1から6万分の1まで減少した。また、光触媒が酸化チタンのみで、酸化銅を含まない場合は、ウイルス減少効果はほとんど得られなかった。

 続いて、不活化効果のメカニズムを調べたところ、同光触媒は新型コロナウイルス表面にあるスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を変性させることが分かった。変性によって、RBDを人間の細胞表面にある受容体ACE2に結合しないようにすることで、ウイルスを不活化する。

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開発したナノ光触媒が新型コロナウイルスを不活化する様子の模式図(クリックで拡大) 出典:日本ペイントホールディングス

 この光触媒は、新型コロナウイルスのアルファ変異株やインフルエンザA型ウイルス、ノロウイルスのモデルに用いるネコカリシウイルス、細菌に感染するバクテリオファージQβおよびM13ウイルスに対しても不活化効果を示した。そのため、新型コロナウイルス感染症が終息した後も、さまざまなウイルスの感染リスク低減に役立つことが期待される。

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