ワクチン充填を効率化し、ミスを低減する支援機器を発売:医療機器ニュース
三田理化メディカルは、新型コロナワクチンの充填手技を効率化する機器「クイックフィラー」の一般販売を開始した。薬瓶を逆さに保持して、ゴム栓や針先が確認しやすい設計になっているため、充填操作や計量が簡単になり、確実性が高まる。
三田理化メディカルは2021年6月29日、新型コロナワクチンの注射器への充填ミスを軽減し、充填手技の効率化を支援する機器「クイックフィラー」の一般販売を開始した。ファイザー製とモデルナ製のワクチンにそれぞれ対応した2種を発売する。
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クイックフィラーは、薬瓶を固定するホルダーと手指をサポートするプレートで構成されている。手をプレートに添えて両手で注射器を取り扱うため、充填操作や計量が簡単になり、確実性が高まる。薬瓶を手で持たないため、薬瓶内の温度上昇も防げる。
クイックフィラーの前面は針先を確認しやすいオープン設計で、薬瓶を最適な角度で保持し、ゴム栓を直視できる。また、集団接種会場の会議机などに置いて使用することを想定して設計しており、視線の高さで充填が確認できる。
薬瓶を逆さに保持するため、薬液を最後まで採取できる。ファイザー製ワクチンであれば、標準で6回分取れるところを7回分採取可能だ。
ペインクリニックなどでは、薬瓶を逆さに保持する「薬液容器ホルダー」が使用されており、充填手技のスピードアップや作業者の負担軽減に寄与している。今回、同ホルダーの使いやすさを生かしつつ、新型コロナワクチン対応の機器を開発した。
クイックフィラーは、既に地方自治体による集団接種会場や大規模接種会場などで導入されている。三田理化メディカルの調査では、クイックフィラーの使用に慣れると、薬液の充填時間が従来の半分程度に低減するという。
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