トヨタグループはソフト開発体制を1万8000人に、「幅広い分野の人材が必要」:車載ソフトウェア(2/2 ページ)
トヨタ自動車は2021年8月25日、オンラインで説明会を開き、ソフトウェアやコネクテッド技術の開発方針を発表した。
新たなソフトウェア開発体制の土台となるのが、ウーブン・プラネットで開発中のソフトウェアプラットフォーム「Arene」だ。「Areneはソフトウェアのプラットフォームと開発環境のセットだ。WindowsやAndroid、Linuxがあるように、クルマのためにAreneをつくる。ソフトウェアの開発効率や品質、リードタイムを抜本的に変える。5年以内には、Areneでクルマをつくりたいと考えている」(山本氏)。
一部の自動車メーカーは自動運転ソフトウェアのベータ版を車両のユーザーに配布しており、こうした動きを柔軟で迅速であると評価する向きもあるが、山本氏は「クルマは人命に関わるので、完成前のソフトウェアは提供できない」とコメント。スマートフォンなど自動車とは異なる業界の作法をそのままは取り入れない。
また、トヨタは2007年からOTAに取り組んできたが、「アップデート後の地図が動かないなど失敗も経験してクルマを機能不全にするようなアップデートがあってはならないという教訓を得た。Toyota Safety Senseで歩行者検知機能を追加するアップグレードも提供しているが、ユーザーに対して十分に説明した上でソフトウェアを更新する必要がある」(山本氏)と、提供スピードや更新頻度の高さに偏重しない考えを示した。
トヨタが試す、新しいクルマの形
その一方で、刻々と変わるユーザーや市場のニーズを取り込むクルマづくりも推進し、「変化に対応するためのスピードは上げていく」(山本氏)。そのためにベータ版を配布するのとは違うやり方で新しいクルマの形を試していく。
例えば、東京オリンピック・パラリンピックの選手村に導入した「e-Palette」向けには、トヨタ生産方式(TPS)の考え方に基づいた運行管理システムを開発。無人運転で走行する「ロボタクシー」への布石とするだけでなく、エリア内の混雑や待っている乗客数に合わせて運行する「街と協調したモビリティ」の実現につなげる。
ユーザー一人一人に合わせたパーソナライズの取り組みも始める。2022年春から、サブスクリプションサービスの「KINTO」に、ソフトウェア更新で走行性能をアップデートする車両を新たに追加する。モデルチェンジ以外のタイミングで機能の進化を提供するのは、トヨタとして新しい取り組みとなる。
ソフトウェアによる走行性能のアップデートを行う第1弾となるのは「GRヤリス」で、ユーザーの走行データをプロドライバーやエンジニアが分析して、サーキットなどで運転しやすくなるようチューニングするパーソナライズを提供する。将来的には、安全装備や自動運転システム、燃費向上などソフトウェア更新が収益化に貢献しうる分野にもパーソナライズを広げていきたい考えだ。
静岡県裾野市で現在建設中のコネクテッドシティー「Woven City(ウーブンシティー)」も新たなモビリティを試す場となる。
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