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京セラの3軸水晶ジャイロセンサが卓球選手の超高速スイングを見える化するイノベーションのレシピ(3/3 ページ)

京セラは独自開発した「3軸水晶ジャイロセンサモジュール」を用いて卓球選手の動きを可視化するプロジェクトを進めている。京セラの担当者に3軸水晶ジャイロセンサモジュールの技術詳細と、同モジュールを卓球に適用した狙いを聞いた。

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バドミントンやサーフィンなどにも応用可能か

 3軸水晶ジャイロセンサモジュールは、スポーツ教育や、プレイヤーの動作データを活用するeスポーツ(エレクトリックスポーツ)、遠隔医療、産業用途での遠隔ロボット操作など、さまざまな用途に応用できる可能性がある。生田氏は「まずは卓球をはじめとするスポーツ指導に活用する研究を進める」と説明する。

 卓球ラケットセンサシステムはプロ選手だけでなく、卓球教室や学校で生徒を指導するのにも役立つ。実際に、ある卓球教室で同システムを使用してもらったところ、「競技初心者の生徒にシステムを使って指導すると、例えばサーブの練習で重要になるラケットの姿勢やボールへの体重の乗せ方を視覚的に分かりやすく伝えることができたという。1カ月程度の期間で、試合で使える程度のレベルに引き上げられた」(生田氏)という。

 卓球以外にも、バドミントンやクリケット、ホッケー、スキー、スノーボード、サーフィンなど、選手の姿勢位置がパフォーマンスに大きな影響を与えるスポーツへの適用可能性を模索する。一連の取り組みを通じてスポーツにおけるデータ活用のノウハウを蓄積して、「いずれはコト売りとしてデータビジネスへと広げていきたい」(生田氏)と将来的な事業展開も視野に入れている。

モジュールの小型化を目指す

 今後の開発課題としては、3軸水晶ジャイロセンサモジュールの小型化や軽量化が挙げられる。「プロ選手の場合、モジュールの装着によってラケットの重心位置などが変化してしまい、パフォーマンスに影響が出る可能性がある。回路の効率化を図るとともに、使用部品の点数を削減することで、簡素な回路を実現する。また、省電力化によって搭載するバッテリーの小型化も図る」(川口氏)。また、スポーツ以外の分野への適用可能性も探っていく方針で、構想段階ではあるが、さまざまなセンサーと組み合わせることで位置推定に使える安価なセンサーシステムの開発などを検討しているという。

 ちなみに、生田氏も川口氏も卓球の経験者で、学生時代にはチームのキャプテンを務めた経験もあるという。両氏は卓球ラケットセンサシステムを使ったスポーツのオンライン指導の可能性に期待を寄せる。「強豪校であれば別だが、特に地方の学校では部活顧問が卓球の経験がない、忙しくて生徒を指導できないといった問題が起こりがちだ。システムを使ってオンラインで外部のコーチから指導を受けられるようにすれば、より効果的なスポーツ教育が実現できるだろう」(生田氏)。

卓球ラケットセンサシステムのイメージ動画

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