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京セラの3軸水晶ジャイロセンサが卓球選手の超高速スイングを見える化するイノベーションのレシピ(2/3 ページ)

京セラは独自開発した「3軸水晶ジャイロセンサモジュール」を用いて卓球選手の動きを可視化するプロジェクトを進めている。京セラの担当者に3軸水晶ジャイロセンサモジュールの技術詳細と、同モジュールを卓球に適用した狙いを聞いた。

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独自の水晶加工技術で高速回転検出を実現

 3軸水晶ジャイロセンサモジュールの最大の特徴は、計測可能な角速度の上限値が非常に高い点にある。スマートフォンなどに使われている一般的なMEMSジャイロセンサーは、最大でも1秒当たり5回転程度(約2000dps:dpsはdegree per second)しか計測できない。

 生田氏によると、プロ卓球選手のラケットスピードは「おおよそ2000dpsを超えており、場合によっては3000〜4000dpsもの速度を出すこともある」という。このため従来のMEMSジャイロセンサーではラケットとのスイングスピードなどを測定することが難しかった。一方で、3軸水晶ジャイロセンサモジュールは1秒当たり最大200回転(約7万2000dps)まで計測できるため、十分測定可能だ。


高速回転検出に対応する※出典:京セラ[クリックして拡大]

 高速回転への対応を実現したのが、京セラの高精度水晶加工技術だ。ジャイロセンサーは振動中の振動子に遠心力を加え、その際に発生する電気的な容量変化からコリオリ力を検出し、そこから角速度を算出する仕組みである。しかし、従来のMEMSジャイロセンサーは振動子の可動域を一定範囲以上に広げることが難しく、計測可能な角速度に限界があった。一方で、京セラは独自の加工技術によって「可動域の制限が生じにくい構造を実現した」(川口氏)という。これに水晶自体の特性が組み合わさって、大きな遠心力がかかっても問題なく測定できるようになった。

 この他にも3軸水晶ジャイロセンサモジュールにはいくつかの特徴がある。GPSが使用できない環境下でも誤差数十cm以内の精度で運動する物体の軌跡を測定できる上、高分解能性を持つため、ドローンの姿勢制御やカメラの手振れ補正などにも応用可能だ。また、Z軸方向に独自構造を採用したことで、全ての素子を平面搭載することが可能になり、一般的なジャイロセンサーよりも小型なサイズになっている。


低ドリフト、高分解能などの特徴も備えている※出典:京セラ[クリックして拡大]

 もともと京セラは水晶振動子を用いた製品開発を多数手掛けており、3軸水晶ジャイロセンサモジュールはその1つとして開発されたものである。さまざまな用途を検討していたが、ある展示会に出展した際に、スポーツ工学を専門とする慶応義塾大学 教授の仰木裕嗣氏から「卓球に応用できるのではないか」と提案された。このことがきっかけで、「高速で動く卓球においてどのように使えるかを検証することになった」(生田氏)という。

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