中部圏での輸入水素受け入れへ、トヨタなど5社が実現可能性を調査:燃料電池車
住友商事、千代田化工建設、トヨタ自動車、日本総合研究所、三井住友銀行は2021年8月6日、新エネルギー・産業技術総合開発機構から「中部圏における海外輸入水素の受入配送事業に関する実現可能性調査」を受託したと発表した。事業期間は2021〜2022年度を予定している。
住友商事、千代田化工建設、トヨタ自動車、日本総合研究所、三井住友銀行は2021年8月6日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「中部圏における海外輸入水素の受入配送事業に関する実現可能性調査」を受託したと発表した。事業期間は2021〜2022年度を予定している。
受託した調査は、中部圏水素利用協議会が2021年2月に発表した中部圏の水素需要ポテンシャル調査の結果をベースに、大規模な水素サプライチェーンの構築に向けた検討を具体化させることを目的としている。海外からの水素輸入を前提とした、大規模な受け入れ・配送事業の経済性を検証し、事業化に必要なファイナンスや技術、制度面などの課題を整理する。
日本で水素エネルギーの普及と活用を推進するためには、国内での水素製造だけでなく、製造コストが低い海外製の水素を大規模に輸入する必要がある。海外から大規模に水素を輸入するには、港湾の受け入れ基地の設置と、受け入れ基地から各需要地へのサプライチェーン構築が重要になる。
受託した調査には、住友商事など5社に加えて、中部圏水素利用協議会の会員企業である岩谷産業、中部電力、東邦ガス、日本エア・リキード、三菱ケミカルが協力会社として調査を推進する。さらに、出光興産、ENEOS、川崎重工業、JFEエンジニアリング、日本製鉄も協力する。
中部圏の水素需要ポテンシャル調査では、中部圏で2030年に年間11万トンの需要が見込まれ、2030年以降は技術革新とともにさらなる需要が期待できると試算した。地域別では、愛知県知多市や三重県四日市市の工業地帯に需要の8割が集中すると見込む。用途別では、発電や石油精製、石油化学で需要全体の8割を占める。水素ステーションや自家発電などの燃料電池用の高純度な水素の需要は2割弱と想定する。受け入れ基地の立地は知多方面が有力だとしている。
2030年に見込まれる年間11万トンの需要は、2017年に経済産業省が発表した水素基本戦略の全国目標の3分の1を占める水準だ。ただ、この需要創出を実現するには、各産業セクターで水素にエネルギーを切り替えられるコストと水素価格が同等になることが条件となる。また、海外からの水素受け入れや配送、需要者の受け入れ設備などで初期投資が合計1000億円必要だとしている。
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