トヨタなど9社が「水素バリューチェーン推進協議会」、FCVや鉄道、海運に広がり:燃料電池車
トヨタ自動車など9社は2020年10月14日、水素社会の実現を推進する「水素バリューチェーン推進協議会」を設立すると発表した。2020年12月初旬の設立に向けて、賛同する企業や自治体、団体を募る。
トヨタ自動車など9社は2020年10月14日、水素社会の実現を推進する「水素バリューチェーン推進協議会」を設立すると発表した。2020年12月初旬の設立に向けて、賛同する企業や自治体、団体を募る。
同協議会の準備委員会には、岩谷産業やENEOS、川崎重工業、関西電力、神戸製鋼所、東芝、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループ、三井物産が参加。水素エネルギーの需要創出や、スケールアップと技術革新によるコスト低減、事業者に対する資金供給といった課題の解決に向けた横断的な団体として、同協議会を立ち上げる。既存の団体や事業者と協力、協調し、水素バリューチェーンの構築に向けた事業化や渉外、調査などの機能を担う。
既存の水素エネルギー関連の団体では、2017年1月に発足した「水素協議会(Hydrogen Council)」が大規模だ。自動車業界の他、重電、エネルギー関連のグローバル企業が参加している。
日本国内での水素の活用は、燃料電池車(FCV)だけでなく鉄道や海運などさまざまな分野で進められている。鉄道では、トヨタ自動車が東日本旅客鉄道(JR東日本)や日立製作所とともに燃料電池のハイブリッドシステムを搭載した試験車両を製造。2022年3月ごろから鶴見線、南武線尻手支線、南武線で試験走行を行う。海運では日本郵船、東芝エネルギーシステムズ、川崎重工業、ENEOS、日本海事協会の5社が、燃料電池船の開発を始めており、2024年6月に完成、その後半年間の実証運航を予定している。
FCVは商用車の開発が活発だ。トヨタ自動車と日野自動車が燃料電池(FC)大型トラックを共同開発する他、いすゞ自動車と本田技術研究所もFCをパワートレインとした大型トラックを共同研究する。トヨタと日野が開発するFC大型トラックは、2022年春頃からアサヒグループホールディングスとNEXT Logistics Japan、西濃運輸やヤマト運輸、トヨタの物流業務で使用しながら走行実証を行う計画だ。
また、トヨタとホンダは、FCバスの給電機能を活用した移動式発電・給電システムの実証実験を開始した。2020年末には、トヨタのFCV「ミライ」の全面改良も予定されている。
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