“CTスキャン”も可能な森林計測サービス、ヤマ発が産業用無人ヘリで実現:Japan Drone
ヤマハ発動機は、「Japan Drone 2021」において、産業用無人ヘリコプターとLiDARの組み合わせで実現した「森林計測サービス」を披露した。最大1日100haという広域にわたって森林の立木の1本ずつを高精度に識別できる、従来の航空計測や電動ドローンでは難しい「森林の見える化」が可能な点が最大の特徴だ。
ヤマハ発動機は、「Japan Drone 2021」(2021年6月14〜16日、幕張メッセ)において、産業用無人ヘリコプターとLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の組み合わせで実現した「森林計測サービス」を披露した。最大1日100haという広域にわたって森林の立木の1本ずつを高精度に識別できるという、従来の航空計測や電動ドローンでは難しい「森林の見える化」が可能な点が最大の特徴だ。
従来の森林計測では、有人ヘリコプターなどを用いる航空計測や、電動ドローンを用いた計測が用いられてきた。しかし、数百mの高度から行う航空計測は広域をカバーできるものの、1m2当たりの計測点数が1桁程度と少なくなるため、森林の立木それぞれの状態を確認することは難しいという課題があった。また、電動ドローンを用いた計測は、高度数十mから計測できるので森林の立木それぞれの計測が可能ではあるものの、航続距離の短さから計測範囲が狭いことが課題になっていた。
一方、ヤマハ発動機の森林計測サービスは、航空計測と電動ドローン計測、それぞれの課題を解決する内容になっている。農薬散布向けなどで高い実績を有する産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」に、1秒間に75万回のレーザーを照射できる最新鋭のLiDARを搭載して、地上高度約100mから計測を行う。FAZER R G2は、水平方向の自動航行機能を備えるとともに約100分の飛行が可能であり、1日当たり最大100haの広域を計測できる。また、1m2当たり1000点以上の計測を行うことで、立木1本1本を識別できるほどの計測精度も得られる。
自動航行機能を活用して高度30〜50mの低空を飛行しながらLiDARでレーザー照射することにより、立木の葉だけでなく幹や地表面も捉えられるので、森林評価のための指標となるデータも取得できる。「森林の計測データを、上から見た状態だけでなく、CTスキャンのような断面図で見ることも可能になる」(ヤマハ発動機の説明員)という。
森林の立木1本1本の状態を識別できるようになるため、これらにIDを付与しての管理も可能になる。例えば、バイオマス用の木を伐採する際などに必要量を事前に概算でき、林道の整備や砂防ダムの設計などにも計測データを活用できるという。
2019年に森林計測サービスの事業化に向けたプロジェクトを立ち上げた後、2020年から本格的に事業をスタートさせた。「これまで森林の詳細な情報は、熟練林業従事者の頭の中に入っているだけだったが、データにして見える化したいというニーズがあった。当社の森林計測サービスはこのニーズに応えるものだ」(同説明員)。
なお、森林計測サービスの展示は、「Japan Drone 2021」のニュービジネス部門の最優秀アワードおよびベストオブオーディエンス部門の最優秀アワードに選出されている。
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