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JIS製図って何ですか!? 「第三角法」について考える3D CADとJIS製図(2)(2/2 ページ)

連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第2回は、3D CADの運用を意識した上で、設計製図の基本であり、2D図面の作成に不可欠な「第三角法」について取り上げる。

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パーツモデルの方向とは?

 第三角法における正面図のことを「主投影図」と呼びます。この主投影図には、最も多くの情報が含まれており、その製品や部品の特徴を一番よく表しています。そして、主投影図には次のようなルールがあります(筆者解釈)。

  • 装置などは、ワークの流れる方向が分かる向き正面とする(左から右がほとんど)
  • 動くモノ(例:自動車)は、進行方向を左に向けた側面を正面とする
  • 部品図は、加工時の状態を考えた姿勢を正面とする
    • 旋盤に取り付けられる方向:径の太い方が左側に
    • 平削り盤で加工する方向:長手方向を水平に、また上から見えるなど

 これらは、2D図面を作成する際のルールとして運用されていますが、3D CADでパーツを設計(3D図面を作成)する場合はどうすべきでしょうか。装置設計を例に説明していきます。

 装置設計を行う場合、1つの装置内には複数の「ユニット」といわれる機能の“カタマリ”があります。ツリー構造で示すと次のようなイメージです(図8)。

装置の構成を示すツリー
図8 装置の構成を示すツリー [クリックで拡大]

 この例において、筆者の考える理想的な“向き”とは、装置の総組図−ユニット−サブアセンブリ−パーツのそれぞれの3平面(正面/平面/右側面[側面])の向きが一致している状態を指します。その方が、装置の全体像を理解しやすいのではないかという考えです。3D図面から2D図面を作成する場合、その部品の機能や加工方法などを表す上で、主投影図を選択しますが、3D CADで3Dモデルを設計するときも、構成要素それぞれの3平面の向きを一致させるようにするとよいでしょう。最後に、実際のイメージを図9図10に示します。

 図9はアセンブリとサブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している状態、図10はサブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している状態を表しています。

アセンブリとサブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している
図9 アセンブリとサブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している [クリックで拡大]
サブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している
図10 サブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している [クリックで拡大]

今回のまとめ

 SOLIDWORKSでは、ユニット設計者がパーツ設計を行いながらアセンブリを構築します。このとき、ほとんどの場合がパーツとして単独で存在する形で作成します(仮想構成部品の形式で、アセンブリ内のパーツとして存在することもあります)。また「iCAD SX」では、内部パーツとして作成し、その後、外部パーツとして保存を行うこともできます。筆者の一案ですが、3Dモデリングの設計手法的な話にもなりますが、分かりやすいパーツ設計とアセンブリ設計を考えた場合、“モデルの向き”というものも重要な要素だと考えます。

 パーツやサブアセンブリの流用においては、全てに当てはまるわけではありませんが、設計基準を定める3D CAD運用ルールの中で、JISで規定されている第三角法を理解することは、2D/3Dにかかわらず分かりやすい図面の作成に大いに役立つといえます。

 次回は、3D CADから2D図面化する際のJIS製図について解説します。お楽しみに! (次回へ続く

⇒「連載バックナンバー」はこちら

Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)/SOLIDWORKS User Group Network(SWUGN)のリーダーも務める。


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