部工会が経営動向調査、2021年度は97.8%が増収増益見込み:製造マネジメントニュース
日本自動車部品工業会は2021年6月21日、2020年度通期の経営動向調査を発表した。会員企業427社のうち、自動車部品の売上高比率が50%以上を占める上場企業60社を対象に業績を分析した。
日本自動車部品工業会は2021年6月21日、2020年度通期の経営動向調査を発表した。会員企業427社のうち、自動車部品の売上高比率が50%以上を占める上場企業60社を対象に業績を分析した。
60社の2020年度の売上高は前年度比9.6%減(2兆3222億円減)の21兆8457億円、営業利益は同13.2%増(847億円増)の7244億円となった。営業利益率は0.7ポイント改善して3.3%となった。親会社株主に帰属する当期純利益は同43.8%増(1208億円増)の3966億円だった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による市場減速の影響で減収となったが、固定費などの削減による体質改善で全体としては増益を確保した。ただ、60社のうち前年度から減収減益だったのが48社で80%を占めており、減収増益は10社で16.7%にとどまった。
2020年度のグローバルでの自動車販売台数は前年度比3.5%減の8063万台だった。中国が消費促進政策やインフラ投資の実施で販売台数を前年度から21.8%増と大きく伸ばしたが、その他の地域ではCOVID-19によって2020年度上期の需要が低迷し、全体としては前年度比でマイナスとなった。
グローバルでの2020年度の新車生産台数は前年度比7%減の7919万台となった。上期は都市封鎖(ロックダウン)によって各国の生産台数が減少したが、下期にかけて徐々に回復した。日本国内の生産台数は同15.5%減の788.2万台、完成車の輸出台数は同22.1%減の367万台となった。国内の販売台数は同7.6%減の465.3万台だ。2020年度の期中平均の為替レートは、1ドル=105.9円、1ユーロ=122.8円、1元=15.5円だった。
2021年度通期の業績予想について見通しを発表している46社を集計したところ、売上高は前年度比11.0%増(2兆1937億円増)の22兆1738億円、営業利益は同74.5%増(5504億円増)の1兆2891億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同63.5%増(3427億円増)の8825億円を見込む結果となった。営業利益率は前年度から2.1ポイント改善して5.8%となる見通しだ。46社のうち45社が増収増益を見込む。
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